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藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」#12動物

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仏教の有名な教えに、因果応報というのがある。悪い事をすれば、悪い事が返ってくるし、良い事をすれば、良い事が返ってくる。つまり、自分のしたことは、全て自分に返ってくるという、ちょっと怖い教えだ。
これは、そっくりヒーリングにも当てはまる。相手に癒しを与えれば、自分も癒される。癒されようと躍起になっているうちは、その癒しは得られても短時間で、心の芯から癒されることはない。
動物というのは、言葉という人間が発明した道具を持たない代わりに、より発達した伝達手段を持っているとされる。さらにヒーリング能力にも長けていて、イルカやオオカミの例では、重度の鬱に悩む人間の子供の心を簡単に開いてしまう。それはただ見つめ合ったり、接するだけなのだが、専門医があらゆる手と時間を尽くしても塞がっていた子供の心を柔らかく開いてしまうのだ。
そのヒーリング能力は、人間にもある。本来、人は人を、人は動植物などをしっかりと癒せるのだ。
そしてそれは癒しを与えるという発想から始まるのだと思う。
癒されたいと願うのならば、因果応報よろしく、まずは癒しを与えればいい。ペットに癒されたいなどと思わずに、むしろその小さな命を癒そうと意識を変えられたらしめたものだ。そもそも自分よりも脆弱な命から癒しを引き出そうというのは、なんだか貧しい。むしろ守って癒してあげなければ、と思う方が当たり前な気がする。

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