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藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」#9呼吸

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呼吸とは繰り返しなのだから、先も後もないだろうと考えるのは、もっともだが、ゴミ出しして受け皿を綺麗にしてから栄養を入れるという意識が大切だ。意識は、物理的な質すら変えられると思う。
従来の「吸って吐く」から「吐いて吸う」へと呼吸へのイメージをまずリセットすることが、正しい呼吸への第一歩だ。
次に意識することは、吸う時は鼻から吸うということ。当たり前のようだが、実際は口から息をしている人が結構多い。
人体の構造上から言うと、口はあくまで食物の入り口であり、そこで咀嚼され唾液とからまり胃腸へと食道を通って降りていく。鼻は呼吸専用と言ってよく、ホコリや細菌が体内に入るのを防ぐために粘膜や鼻毛がある。空気はどこでも安全で新鮮というわけではないので、そのために濾過装置が鼻にはあるのだが、口から吸ってしまうと、不要な物を体内に取り入てしまったり咽を痛める原因となる。なので、吸う時は口を閉じて鼻から取り入れることを確認する。ちなみに吐く時は口からでもいいが、鼻イン鼻アウトが自分は好きだ。
その上で、次にすることは、吐く息を細く長くとることだ。吐く時には、副交感神経が刺激され、逆に吸う時には交換神経が優位になる。前者の神経は、簡単に言えば心身をリラックスさせてくれるのに対し、後者は緊張を促す。
つまり、興奮と緊張をもたらす吸気よりも、リラックスをもたらす呼気を長くとることで、全体としてリラックス状態へと導く事ができる。
ここで話をもとに戻すと、怒り、不満、不安、嫉妬、恐怖などのネガティブな精神状態な時には、たいて交感神経が優位になっていて、息が浅く興奮状態で、吸気ばかりで呼気がうまくいっていない。それでも少し息苦しくなってしっかり呼吸をしようと気づくまではいいが、そういう時は深く息を吸い込んでぱっと吐く様な、ため息になってしまっている。これも一見息が入って楽になるようだが、実は吸気に気をとられ、ゆっくり深く吸い込みはするが、呼気が疎かで、結果交感神経をより強めるだけで、頭に血が昇ったままになってしまっている。
まずは、息をゆっくり長く吐くことが正しい呼吸の基本となる。徐々に少しずつ吐いていき、吐き切ってから二、三秒呼吸を止めれば、次には必要な量の空気が自然に肺へと入ってくる。なので、吸気に対しては無意識なまま放っておいていい。それを十分ほど続けてみると、誰でもはっきりとリラックス状態になっていくのを感じることが出来ると思う。慣れるに従い、一呼吸も長くなり、一分で3回から4回で済むようになる。そうなれば、肩や首周辺の力みが、息を吐くごとに抜けていくのが分かるだろうし、背筋を伸ばして、三十分ほど続けたら、かなりすっきりすると思う。

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