外国人が日本に抱くイメージは、わかりやくすく象徴的なアイコンばかりに限定されやすい。
例えば、ほとんど完璧に形取られた富士山。漫然と広がる都会的風景の中の伝統的な寺社仏閣。そして、ありとあらゆる場所にある自動販売機。(それは、ロボット化崇拝のひとつの兆候ともいえる。)あるいは、毎春の、桜の花でピンク色に染まった都市。
けれども、この標準化された視点は、意識的に周囲の空間を体験し始めた途端に消えさるでしょう。
もし、東京をひとつの工場とするならば、不可思議な造形と人々の活気、そして超折衷主義という要素が形成することになる。東京の建築は、そこを探索する者を、観察者ではなく参加者として受け入れるような、不規則で非線形的な共生空間をつくりだしている。
東京から感じる不規則さは、西洋の都市が持つ明確さとは真逆。ヨーロッパの都市では一般的なスクエアや、ストリートの外観の一貫性が全くない。都市研究者のB.Sheltonが発見したように、「東京はカオス理論を踏襲したような街」なのだ。
巨大なネットワークの中で、小さな線が絡みあって形成される無秩序な迷宮群は、常に建設途中であるような印象を与える。そして、建築とその周囲は連動して、空間構成や色調が共有されている。
緑は、コンクリートの中に織り込まれて存在しています。家の中に隠されたの庭、広々とした公園、あるいはアパートの外にある花壇が、パブリックスペースにユニークな印象をもたらしています。
これらすべての特徴が、私にはパズルのように感じられた。日本の建物や鑑賞者としての私たちはそれぞれひとつのピースとなり、パズルを解いたり、あるいは新たに作りだしていくような感覚。
これらを念頭に、私は、SHURREAL TOKYOという一連の写真を制作いたしました。線と色にフォーカスした、東京の建築風景の組み合わせを表現している。それはシュールな混合物。滑らかな表面、膨大な構造、グリッドグラフ。あるいは、未来的なパターン。まるで、神社の前で風に揺れるおみくじのよう。
ようこそ、”SHURREAL WORLD”へ。パズルのように、この世界を遊んでみてください。
Yulia’s architecture project ‘SHURREAL TOKYO’
◆ スケジュール
期間 :2019年9月27日(金) – 2019年10月2日(水)
開催時間 2PM – 8PM
(レセプションのため、27日のみ7pm to 11pm)
◆ 場所
ONFAdd Gallery
〒153-0044 東京都目黒区大橋1-1-8 エバーヒルズ池尻大橋 2F
◆ アーティスト
Yulia shur
ベラルーシ生まれ。アートディレクター、写真家、ディレクターとして、3年前より東京を拠点に活動を始める。クリエイティブエージェンシーである、AVGVSTに所属。
作品制作では、線、色、かたち、そして明晰夢と、彼女が獲得した様々な技法をもちいて、イメージをつくりあげ、「人の目が見たものを、見たままに記録する」写真の定義を拡張することを目指す。幻想、危うい美、死とおそれ、そして自分のなかに潜む空想世界といった概念と向き合うことを、楽しみながら制作をおこなっている。
彼女が鑑賞者に望むのは、作品によって心の中に何らかの感情がうまれること、ただひとつ。美しさを感じたり、夢中になったり、閃きを経験したり、恐怖、そして嫌悪感さえも味わって欲しいと願っている。彼女は、あなたの中に何かしらの感情を呼び起こせたのならば、その種類が何であっても、全く構わないのである。
Website: https://yuliashur.com
Instagram: @s_h_u_r / @shurrreal