写真とは小さな箱についている小さな窓から世界を覗き、瞬間を収めて行く行為。僕らが景色に心を奪われ、瞬間に感情を爆発させ、笑ったり、泣いたりする時、写真家はその感情を小さな窓から覗き、シャッターを切ることで写真に収める。シャッターを押すのではなく、切る。瞬間を一枚の紙の厚さのごとく切り取り、そこに言葉では語れない物語を表すのだ。生まれてからの家族のスナップ、学校での行事、雑誌で見たファッションや、ふざけ合う10代の夜。写真はいつも僕らの日常と共にある。自分が生きたという証は、やがてこの世をさる時には、他人の心に残る思い出と写真でしか存在しない。そんな写真というものの価値観はどこにあるのだろう? いい写真と悪い写真。それは画角やライティングみたいなテクニカルなことだけを意味しない。時代とともにいい写真の意味は変わる、特にファッションの世界においては。それはその時代の表情とともに移ろっていく。今のファッション写真とはなんなのだろう? そもそも雑誌で育った40代と、物心ついた頃から写真といえばデジタルの20代。限られたリソースの中で、時代を作る写真を必死に学んだ40代と、あらゆるイメージが氾濫する時代に生まれた20代。今、目の前に一枚の写真があるとして、僕らは同じような価値観で見ているのだろうか?違うのだとすれば今の写真の見方とはなんなのだろう? 同じものをテーマに、それぞれの年代の写真家が小さな窓から覗き、その瞬間を切り取るとき、その裏にどんなストーリーが産まれるのかを僕たちは見たいのだ。
20代、30代、40代という世代を代表するフォトグラファーたちが、クライアントの制約等を離れ、それぞれが思うファッションフォトというものを同じテーマの元に制作し展示する。SNSの全盛において大きくその意味合いが変わってきたファッションフォトの存在価値、そしてその未来を、現代を生きる新たな世代に提示する。
LOOKIN THROUGH THE WINDOW
会期: 2019年7月20日(土) ー 8月30日(金)
開場時間: 11 時 20 時
会場:GYRE GALLERY /GYRE 3F 東京都渋谷区神宮前5‐10‐1 03-3498-6990
主催:GYRE
展覧会企画:野村訓市
参加作家:水谷太郎、小浪次郎、石田真澄
企画:中島敏子
アートディレクター:峯崎ノリテル
協力:HiRAO INC 、東京カラー工芸社、株式会社フレームマン、東京リスマチック株式会社