19世紀末から20世紀初頭、ルネ・ラリック(1860-1945)の名は独創的なジュエリー作家としてフランス国外にも知られていた。しかしその作品の幅は実に広く、飾り襟やハンドバッグなどバラエティーに富んだ“服飾品”を数多く残している。
新たな世紀に先駆けて開催された1900年のパリ万国博覧会で、ラリックはジュエリー部門の総責任者を務めた。ファッション部門でその任を務めたトップデザイナー、ジャンヌ・パキャン(1869-1936)とは、後年に意外な接点も生まれる。当時パキャンらがリードした女性のモードは、流行の装飾様式“アール・ヌーヴォー”と調和する曲線的なラインのドレス。多くの女性がその流麗なシルエットにふさわしい、くびれたウエスト作りに励んだ。
健康を害するほど締め付けるコルセットから女性が解放されるのは、第一次世界大戦(1914-1918)を経た1920年代。一転して装飾の流行が直線的な“アール・デコ”様式に移ったその頃、ラリックはすでにインテリアを中心にしたガラス製品の量産に大きく舵を切っていた。デビュー初期に集中していたオーダーメイドの服飾品は、細いウエストにエレガンスを求めたアール・ヌーヴォーの装いと符合するもの。
開館20周年を迎えた箱根ラリック美術館の企画展では、所蔵するラリックの作品をファッションの視点からピックアップし、図鑑形式でそのアイテムを紹介。
またルネ・ラリック没後80年を記念し、彼が活躍した20世紀初頭のシルエットのドレスを復元制作した(※写真上)。
展示のハイライトとして、これに作品の着装を初めて試み、ファッションにおけるラリックのリアリティーに迫る。服装の歴史にまつわるエピソードも交え、アール・ヌーヴォーの服飾がわかる当館厳選の18のアイテムを、図鑑をめくるように楽しむことができる。
コサージュブローチ「バラ」1902-1904年頃
ネックレス「スカラベ」1912年
ブローチ「樹冠の中の女」1900-1902年頃
ハットピン「ケシ」1898-1899年頃
ハンドバッグ「フジとクワガタソウ」1901-1903年頃
ルネ・ラリック没後80年 箱根ラリック美術館開館20周年
【ルネ・ラリックのファッション図鑑】
開催期間:2025年3月22日(土)〜11月30日(日)
会場:箱根ラリック美術館 2階企画展示室
主催:箱根ラリック美術館
企画監修:奥野良江 協力:(学)杉野学園ドレスメーカー学院 神戸ファッション美術館 (株)アディスミューズ/アトリエohana
箱根ラリック美術館
https://www.lalique-museum.com/
開館時間:9:00〜16:00 (美術館入館は15:30まで)
Hakone Emoa Terrace レストラン:9:00〜17:00 (お食事L.O. 16:00/ドリンクL.O. 16:30)
休館日:毎月第3木曜日定休(但し、8月は無休) ※臨時休館の場合あり、最新情報は、公式ホームページをご覧ください。
入館料:大人1500円/大・高生・シニア(65歳以上)1300円/中学生・小学生800円
※レストラン、パティスリー、ミュージアムショップは入場無料
所在地:〒250-0631 神奈川県足柄下郡箱根町仙石原186番1 TEL:0460—84—2255
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