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エネルギーの絶え間ない探求。Lui Nemeth “Chromatic Studies”


Lui Nemeth, Grey of Grey, Oil Paint and Charcoal on Linen, 1195 x 875 mm, 2023 Courtesy of the Artist, The Mass 



ルイ・ネメスは、創作プロセスに深く根ざした独自の視点で現代絵画にアプローチしている。彼女の作品では、物理的な形や物体が意図的に排除され、内面の奥深くにある表現しがたいものを探求し、明確な具象表現を避けている。芸術的な形式に対するアプローチは、直感とリズミカルな即興性を重視し、各色や筆致が相互に影響し合うことでその本質を現し、木炭やパステルで「縫い合わせる」ように複雑な要素が統一され、調和が生まれる。


今回の展示 “Chromatic Studies” は、昨年からのアイデアを引き継ぎ更に発展させたもので、さまざまなメディアや材質を通じて感情の風景を描き出している絵画は感情の現実としての存在を探求する手段であり、音楽のように特定の意味を探ることなく直感的に伝わるものだと捉えている。即興的に色が重なり合い、動きを通して調和していく過程に、音楽制作との共鳴が見出され、そこに人生の複雑さが表れている。各色は独自の感情を持ち、それらが重なり合うことで、存在の美しさを体現する豊かで多層的な表現が生まれる。


彼女の作品の中心には、「エネルギー」の絶え間ない探求がある。音と色の感覚的な二重性、存在を質感のある動きに凝縮する試み、あるいは記憶的な特性を通じて、そのエネルギーの探究が作品のさまざまな形に影響を与えている。制作全体にわたって、芸術行為そのもの、表現の生成プロセスに焦点が置かれており、そのプロセスは即興性や絶え間ない変化が本質的に重視されている。創作過程の展開に意義を見出し、完結した表現ではなく、継続的な問いとして提示され、動きによって作品が絶え間なく動き続ける状態を保つ。


Lui Nemeth “Chromatic Studies”
会期: 2024年11月21日(木)- 12月21日(土)
12:00 ‒ 19:00 *月曜、火曜 休館
会場: The Mass 東京都渋谷区神宮前5-11-1
入場無料

Opening Reception: 11月20日(水)18:00 ‒ 20:00


Lui Nemeth, Mauve Red Shade, Oil Paint, Pastel and Charcoal on Paper, 1050 x 750mm, 2024 Courtesy of the Artist, The Mass 



Lui Nemeth, Payne’s Grey Light, Oil Paint, Pastel and Charcoal on Paper, 1050 x 750mm, 2024 Courtesy of the Artist, The Mass


Lui Nemeth / ルイ・ネメス
1987年、東京生まれ。2010年にロンドンのCentral Saint Martinsを卒業後、現在は東京を拠点に作家活動を行っている。過去の展示には “Oil on Paper”(2016年、Cale、東京)があり、音を色に変換するシリーズを通して、感覚の二重性に対する初期の関心が反映されている。翌年の展示 “Portraits”(2017 年、Cale、東京)では、麻のキャンバスに描かれた抽象的な作品で動きとエネルギーを描写し、反復的な動きを通じて生命のリズムを捉えようと試みた。3度目の個展 “Three Graces”(2021年、東京)では、幼少期に描いたボッティチェリの『プリマヴェーラ』を再解釈し、記憶と新たな表現を融合させ、伝統的な美的理想に挑戦しながら人間の存在のより深い側面に問いを投げかける独創的な人物像を提示した。異なるアートフォームを重ね合わせることで独自の表現を生み出す彼女の作品は、基盤となる構造を持ちながらも、自由で絶えず進化するプロセスに大きく委ねられている。絵を描く行為そのものに焦点を当て、完成したイメージではなく、絵具の物質的な質感を強調しながら、各筆致における不確実性と可能性の展開に集中する。そのアプローチは、まるで音楽の即興演奏のような流動性を持っている。また、作家活動と並行して、ファッションブランドChristopher Nemethでのクリエイティブディレクションなども手掛けている。luinemeth.com

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