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見慣れている視点からはみ出した作品たち。イ・カンホ、橋本知成、太田琢人、矢口周太郎によるグループ展「Not Quite」


Courtesy of the artist, Lee Kwangho



Courtesy of the artist, Tomonari Hashimoto



Courtesy of the artist, Takuto Ohta



Courtesy of the artist, Shutaro Yaguchi (YOU ARE WELCOME)


日本橋馬喰町に位置するギャラリーPARCELにてグループ展「Not Quite」が開催。
私たちが日々の生活の中で何気なく触れている、椅 子、焼物などのプロダクトや工芸と呼ばれるもの、アートなどが本来の「目的」から逸脱したとき、カテゴライズ自体が 無力化し、より純粋にそのフォルム、マテリアルを享受することができるのではないか?
今回のグループ展に参加する4人のアーティスト、デザイナー、ショップオーナーは家具や物がもつ従来の用途からそれらを切り離すことで、デザインすること、形を生み出すことと形そのものについて考えることを促す。


イ・カンホと橋本知成は共通して手作業を通して作品を生み出している。ソウル拠点のイは彫金出身でありながら、現在は工業用のワイヤーやロープを鍵編みしたベンチや照明、伝統的な七宝焼きをベースにした作品を制作。ソウル郊外で暮らしていた祖父から身の回りの物を自分で作ることを叩き込まれたイは作品を通して、世に溢れている素材に対しての工夫とそれを駆使した新たな造形について気づかせる作品を多く残している。現在、エルメス銀座店のウィンドウディスプレイを担当しているアーティストでもある。


橋本は信楽を拠点に活動しており土を素材に、焼物と時にはモルタルを組み合わせた彫刻作品で知られ、焼物が持つフラジャイルなイメージとモルタルが持つマスキュリンな印象を組み合わせながら、素材間の緊張感を通して我々に、フォルム、重量、重力について考えさせる作品を制作している。2019年のLOEWE CRAFT PRIZE ファイナリストでもある彼の作品の肌は鉱物を連想させるような不思議な光沢で覆われ、対峙する角度によって大きくその表情を変える。


デザイナーである太田琢人は日常の観察を通しての作品を発表している作家。ただ、一貫してそこにはアウトプットの造形に向かう姿勢とクリティックとしての視点もあり、生活を通しての取捨選択や物事の認知、社会システムなどと作品テーマは広い。既存の枠組みにとらわれることなく、インテリアプロダクトからインスタレーションまでと横断をしながら発表を続けている。


矢口周太郎は東京都内でYOU ARE WELCOMEというインテリアショップを営んでいる。巨匠のモダンデザイン家具から作者不明の何かまで、その特異な審美眼から選び抜かれた品々は不思議な調和を産む。フォルム、色彩という点においてユニークなプロダクトたちは矢口のフィルターを通し、あらたなコンテクストを帯びた状態で再度世に出される。


タイトル「Not Quite」 (〜でなくもない) にもあるように、いつも我々が見慣れている視点からはみ出ている作品を中心に選ばれた作家たち。これら居心地の良いカテゴリーを飛び出してしまっている「〜でなくもない」作品や審美眼を通して、デザインとアートのいびつかつ奇妙な相関関係を見るとともに、形というものを純粋に楽しむことができる展示だ。


“Not Quite”
A Group Exhibition by:
イ・カンホ | Kwangho Lee
橋本 知成 | Tomonari Hashimoto
太田 琢人 | Takuto Ohta
矢口 周太郎 | Shutaro Yaguchi
日時:2024年5月18日 (土)‒ 6月30日 (日)  14:00 – 19:00
場所:PARCEL 東京都中央区日本橋馬喰町 2-2-1 DDD HOTEL 1F
DDD HOTEL 1F, 2-2-1 Nihonbashi-Bakurocho, Chuo-ku, Tokyo, Japan
月・火・祝日休み
Closed: Mon, Tue, National Holidays
https://parceltokyo.jp/exhibition/not-quite/

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