©Geoff McFetridge
映画「ヴァージン・スーサイド」「かいじゅうたちのいるところ」のグラフィックデザイン、Apple Watchの文字盤デザインやBeautiful Losersを手掛けたことでも有名なGeoff McFetridge(ジェフ・マクフェトリッジ)が来日し、4月21日より個展を開催する。
花井祐介や長場雄、KYNE、ロッカクアヤコなどの名だたる作家が所属するGALLERY TARGETが移転する原宿・神宮前5丁目の新スペースにて杮落としの個展となる。
また移転先のGALLERY TARGETの下階に同時オープンの『B1倉庫(仮)』でも作品が展示。
©Geoff McFetridge
©Geoff McFetridge
アーティストステイトメント
この展覧会には人間と自然の関係を追求する夢のような作品を沢山描いた。幻覚のようなイメージは人間や動物がお互いに溶け合い、輪郭をなくし共存している様子、僕自身が自然との間に感じる複雑な不快と緊張感を表現したかった。人間から作られた馬、巨大なサメに乗る少女、動物園でおりにいれられた動物になる男性、このシンプルなイ メージは僕が見て感じる視点として提案してみた。
ハーモニーやツリーハギングはない。
パレイドリアとは自然の中に顔や動物が見える現象。例えば顔のような形をした岩、火星の地表にありそうな顔。それは人間が持つ特性であり、ある時期には何かの役にたっていたのかもしれない。複雑な形を説明するのに必要な情報がいかに少ないか、あるいは形が感情を呼び起こすのに必要な情報がいかに少ないか、ということに私は常に興味を持っている。これはパレイドリアになっているのかも?自分を取り巻く世界の中に自分を見ようとする人間の本能。
いくつかの作品はみんなが知っている自然界のもの、それは自分にとっては鹿。鹿は野生味をほとんど感じさせない動物でケアをしてあげたくなる程優しいが時に害虫として駆除の対象にもなる。都市生活における野生動物との典型的な2つの反応である。鹿を描こうと思ったのも「野生のものが平凡でいいのか?」と思ったからだ。
アメリカの田舎でよく見かける鹿は高速の脇にいる(アメリカの田舎は高速から見ることが多い)道路に入ってきて初めて危険な存在になる。それでも鹿をひく方が迂回するより安全だからひくのが常識という考えもある。しかし、もし自分達が岩の下に足が引かかっている鹿をみたとき、その岩を押し除けてでも助けようと思わないだろうか? 私たちは生き物にとって捕食者だ。彼らにとっては悪夢の様な存在。これは今回描いた全ての動物に言える事。サメも馬も鹿も。威嚇は両側から存在する。今回の展示では、僕と生き物達のそれぞれの夢の様なイメージを描いてみた。
今回の新作は自分が長年関心を寄せていたテーマを追求したもの。作品の絵柄がどの様に私たちの持つ理解の合間にある思考を説明できるのか。どこかに向かう、旅をする、変化していく、春によって溶けていくイメージたち。
絵を描いてるときに求めているのはアイディアではなく、その逆のものの様な気がする。おおよそ明確なアイディアがある、僕が描きたいものは僕を超えているように感じる。最高のドローイングと思うものは自分でも気が付かないものや理解できないもの複雑な思考が図式化され解決 したものだ。
©Geoff McFetridge
©Geoff McFetridge
©Geoff McFetridge
BELIEF IN SPRING (ASLEEP UNDER ICE)
Geoff McFetridge
■会期:2023年4月21日(金)~5月13日(土)
■場所:GALLERY TARGET
■所在地:東京都渋谷区神宮前5-9-25
■電話:03‐6427‐3038
■開館時間:12:00 – 19:00
※月・日休廊 ※この展覧会は祝日も開廊
■Instagram :
Geoff McFetridge https://www.instagram.com/mcfetridge/
GALLERY TARGET
https://www.instagram.com/gallery_target/
B1倉庫(仮)
https://instagram.com/b1_storage?igshid=YmMyMTA2M2Y=
Geoff McFetridge (ジェフ・マクフェトリッジ)
カナダ生まれ、アーティストとデザイナーとしてロサンゼルスを拠点に活動。 独特な遠近法や無駄を省いた繊細なラインで描かれるシンプルなグラフィックに込められた メッセージや風刺などで世界中に多くのファンを持つアーティスト。 これまでデンマーク、スウェーデン、ドイツ、フランス、イギリス、オランダ、アメリカ、カナダ、 日本など世界各地で個展を開催。
2004年より世界中を巡回したアーロン・ローズの企画展”Beautiful Losers”展にも参加。
2016年にはクーパーヒューイット・スミソニアン・ナショナル・デザイン賞を受賞、2019年には AIGAメダルを授与された。