TAV GALLERYでは3度目の個展となる中国西安出身の気鋭の若手作家・馬嘉豪(マ・ジャホウ)の個展「諫(カン)」を開催。膨大な人口数の下に潜む暴力性や違和感、アクチュアリティとその行方を人型の建築模型用のフィギアに圧縮した彫刻表現を行うアーティストとして知られている。初個展「霾(バイ)」(2018, TAV GALLERY) では、高度経済成長下の社会問題であった大気汚染PM2.5を題材に、調香師AIKIKAKUと共にPM2.5の香りを空間内で再現した先鋭的な企画でデビューを果たし「燎(リャオ)」(2020, TAV GALLERY)では有名建築や菩提樹をモチーフとしたリアリスティックな彫像を中心に、ロダンの地獄の門を女性器にみたてた大型彫刻作品を展開するなど、文化浄化の時代に応答しました。「シャトレーナガシマ」(2022, ARTDYNE)ではゴミや家具を画廊内に移動させ寝泊まりを続けながら、労働体制や制度的包摂に対する静かな抵抗としてのパフォーマンスを展開した。
これらの活動を通じ、マジャホウは一貫して、文明そのものを対象に、俯瞰的にリアリズム表現を行ってきたアーティストであると言える。労働体制や制度的包摂に対しての抵抗としてのパフォーマンスを行ってきた。
当展に寄せて『現代社会は人への感謝より謝罪を行うことの方が多いーー、社会的な扇動を前に、私たちには断る権利すら残されていない。』と語ったマジャホウは、非現実を現実の一環として表現するマジック・リアリズムの文脈を媒介にした新しいシリーズの絵画作品に挑戦。ルネ・マグリッドの《無限の感謝》(1963) をオマージュした《無限の謝罪》や、生活空間にまつわる普遍的なモチーフを建築模型用フィギアで再現した彫像群では、地政的問題を越えた人間と社会との関係性が浮き彫りにされている。
当展のタイトルとして採用された「諫(カン)」は、「出師の表」の一文「忠諫」(まごころをもっていさめること) に由来します。「出師の表」は、建興5年に、諸葛亮孔明が北伐(魏への遠征)に出発する前に、主君の劉禅に奉った上奏文であり「出師表を読んで涙を堕さない者は、その人必ず不忠である」という、古来からの名文です。現在、歴史的・民族的に正当化される戦争ーー、その行く末を揶揄したマジャホウの新たな試みを目にしよう。
馬嘉豪 個展「諫」
会期:2022年11月19日(土)- 12月4日(日)
会場:TAV GALLERY(東京都港区西麻布2-7-5 ハウス西麻布4F)[080-1231-1112]
時間:13:00 – 20:00
休廊:月、火
馬嘉豪 (マ・ジャホウ)/Ma Jiahao
1996年 誕生
2015年 来日
2016年 多摩美術大学油絵学科入学2017年 第4回CAF賞入選
2020年 多摩美術大学油学科卒業
現在、埼玉にて制作
個展
2022年 「諌」 TAV GALLERY
2022年 「シャトレーナガシマ」 ART DYNE
2021年 「Involution society」 ART DYNE
2020年 「燎」 TAV GALLERY
2018年 「霾(PM2.5)」 TAV GALLERY
グループ展
2022年 「ART NAGOYA」 名古屋観光ホテル
2021年 「3331 Art Fair」 3331 Arts Ciyoda
2021年 「你は何しに여기へ?」 TAKU SOMETANI GALLERY
2020年 「東京五美大展」 新国立美術館
2019年 「mid core」 TAV GALLERY
受賞歴
2020年 福沢一郎賞入賞
2019年 第22回岡本太郎現代芸術賞入選
2017年 第4回CAF賞入選