フィジカルには距離を置かねばならない現状に際し、アイデアや情報のシェアでポジティヴに自宅での時間に向き合うための「Self Isolation」特集。アーティスト/クリエイターによるいまの状況への向き合い方やオンラインで楽しめる情報などを随時アップデートしていく。
4月17日の時点でアメリカはCOVID-19(新型コロナウイルス感染症)の感染者が71万人、死者は3万2000人を超えた。
国内で最多の感染者がいるニューヨーク州では感染者が22万人、死者1万4000人以上を超えた今でも死者数の増加は止まっておらず、毎日600〜700人が命を落としている状況だ。ロックダウンされたNYで画家として活動する中国籍のMing Wangは、中国での状況を知り、いち早くパブリックスペースでの安全策を徹底。現在は自主隔離の状態をモチーフにした作品を意欲的に制作している。
(→ in English)
ーー新型コロナウィルス感染症(COVID-19)で生活、クリエイティヴ、ビジネス、それぞれの面でどのような影響が出ていますか。
Ming Wang : COVID-19の影響で家でスタジオ作業をしなくてはいけなくなりましたが、それは簡単なことではありません。テーブルやライトなどの道具一式が到着するまで、床やトイレで作業していたんですよ。そしてクリエイティヴ仲間たちと離れていることでしばらく気持ちが落ち着かなかったのですが、最近ではオンラインで再び繋がりを楽しんでいます。これもいいものですね。
ーーこの側面で新たに気づいたこと、心がけたいことがあれば教えてください。
Ming Wang : アートはまず最初に自分のために作るべきだということに気づきました。そして、その後に他の人のことを考えればいい。現在の自主隔離の状態では、自分の作品について意見を言われることが減り、そこで改めて人の意見に従って創作するのは良くないとわかったんです。
ーーロックダウンへの精神的、物理的対応があればお聞かせください。
Ming Wang : タイムスケジュールを作って、時間の区切りをつけるようにしました。それで仕事と生活のルーティーンを保つことができます。創作に没頭できる状態を保つことが、孤独と闘い、アクティヴに制作するための秘訣だと思います。
ーーご自身の活動を鑑みて、室内でどのような創作が可能だと思いますか。
Ming Wang : 室内で小さなサイズの絵やドローイングを描くことは可能です。将来的にはより大きな作品にも取り組みたいと思っていますが、現在はできる範囲の創作をしています。
ーーオンラインの活用方法や1人でもできる施策など、良いアイデアがあればシェアをお願いできますでしょうか。
Ming Wang : 食料品と同様に、画材をオンラインで注文しています。外に出ないことを徹底しています。
ーー新たにチャレンジしてみたいことはありますか。
Ming Wang : このロックダウンの間に、より多くの仕事をしてポートフォリオを増やしたいと思っています。また、本をたくさん読んで、COVID-19の波がすぎて本当の春がきた時のために準備をしておきたいですね。
ーー事態が好転し、COVID-19が収束したらしたら何をしたいですか。
Ming Wang : 運転をできるようになりたい。こうなって気づいたのは、自分で身の回りのことをなんでもできることがいかに大切かということです。そのために問題が起こった時に自分が対処できる幅を広げておきたいと思いました。
ーー政府の施策は満足できるものだと思いますか。もしNOであればどのようなことを提案したいですか。
Ming Wang : 中国での厳しい検疫政策には賛成です。状況をよくするために私たちができることは、家にいて外に出ないことですから。しかし、中国政府がフライトをキャンセルすることで、間接的に海外にいる中国籍の人々が家に戻ることを禁止していることには反対です。すべての国民は母国に戻る権利を持つべきですし、政府は家族との再会の自由を奪うべきではないと思います。よりちゃんと組織された検疫計画を作れば、海外から戻ってきた人たちからウイルスが持ち込まれることがないよう輸入されたケースのリスクを防ぐことができるはず。
COVID-19の危機はすでに2月には中国で起こっており、どれだけ危険かそこでわかっていたのだから他の国はもっと慎重になるべきでした。しかし、ニューヨーク市の対応は遅すぎました。最初にニューヨークで感染の疑いが出たとき、私やアジア人の友人の一部は外でマスクを着用することによって身を守り始めましたが、周りの多くの人はそうしたことを理解していませんでした。また、アジア人に対するヘイト・クライムが増加し、ウイルスだけでなくその心配もしなくてはいけないような状態だったのです。政府がより迅速に行動を起こし、市民に公共の場での安全策を呼びかけていれば、状況は少なくとも今よりはましだったのではないでしょうか。
Ming Wang
IG : mingmingmingwang