リック・オウエンス(Rick Owens) 2020年秋冬コレクションが、2020年2月27日(木)フランス・パリで発表された。
今回のコレクションもダークな色使いや深くはいったスリット、隆々と盛り上がったショルダーデザインなど、モードでありながらも前衛的。 一目で「リック・オウエンス」のブランドとわかる強い個性を感じさせながら、リサイクルプラスチックを使用したスケルトンのレインコートやブーツなどのアイテムも登場し、サスティナブルへの挑戦も感じられるものとなった。
しゃぼん玉を飛ばしたり、大きな炎が立ち上がったり、観客が体感できる演出を通してブランドの独特な世界観が表現されている。そんな「リック・オウエンス」のショーで注目されるのは、ランウェイに鳴り響くサウンドトラック。こだわりのサウンドトラックは、過去にLPがノベルティーとして作られたこともあるほど。今回のコレクションは、イギリスのミュージシャン「ゲイリー・ニューマン」の曲”DOWN IN THE PARK”のリミックス。オウエンスからの熱烈なオファーは以下文面である。
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HI GARY NUMAN, RICK OWENS HERE CONTACTING YOU WITH GREAT RESPECT.
I’M A FASHION DESIGNER IN PARIS AND HAVE A WOMEN’S RUNWAY SHOW COMING UP FEBRUARY 27. THE CLOTHES HAVE A VAGUELY GRAY BAUHAUS/KLAUS NOMI VIBE AND I SAW THEM WALKING TO YOUR SONG ‘DOWN IN THE PARK’.
IT OCCURRED TO ME YOU MIGHT CONSIDER LENDING A PERSONAL TOUCH — LIKE LETTING ME USE SOME OF THE ORIGINAL TRACKS SO I COULD HAVE A SUPER MINIMAL STRIPPED DOWN VERSION, SIGNALING YOUR PRESENCE AND APPROVAL.
I REALIZE THIS IS SHAMELESSLY CHEEKY AND YOU HAVE MORE CURRENT THINGS TO DO THAT ARE OF MUCH MORE INTEREST TO YOU… I KNOW THAT I MIGHT BE BORED TO REVISIT SOMETHING I HAD CREATED DECADES AGO… BUT LET ME JUST SAY THAT THE MOMENT I WANT TO CELEBRATE IS THAT OF A SMALL TOWN SISSY IN 1979 FINDING STRENGTH IN THE CHILLY DOOMED GLAMOUR YOU CREATED WITH THAT SONG AND I WANT TO RECREATE IT AS A 58-YEAR-OLD MAN AT THE PEAK OF HIS ALL TOO NUMBERED POWERS.
IS THIS SOMETHING YOU MIGHT CONSIDER?
IN DEEP ADMIRATION
RICK
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GARY SAID YES.
80年代におけるディストピア的な世界の目撃者といえるゲイリー・ニューマン。堕落しつつある陳腐な世界を冷静かつ客観的に見つめるという計算された彼のパフォーマンスは、現在でも完璧で、オウエンスの美学の基礎の一つとなっている。
「リック・オウエンス」の人気が続くのは、このように音楽などのカルチャーとの結びつきが深いからだろう。
今回のコレクションは、怪物のように盛り上がった肩や、極端にひょろっと伸びた腕。大きな肩パッドが入ったフリル袖のニットなど演劇衣装のようなパーツがたくさん見受けられる。レオパード柄のサテンや、オパール色のレザー、ピラルクのような明るいブルーが散りばめられ、コレクションのベースになっているグレーのカシミアで出来たアシンメトリーなニットウェアを引き立てる。
グレー、チェリーレッド、ブラック、そしてブライトブルーのカラーバリエーションがあるカシミアニットは、脚、腕、胴体の上から下まで不均一にボディラインをみせる。70年代に山本寛斎がデヴィッド・ボウイのためにデザインした衣装に着想を得たグラフィカルなラインがトレースされたニットもある。スケルトンのレインコートやジップが複数ついたニーハイブーツなど、リサイクルプラスチック使用されたアイテムも多く見られ、サスティナブルへの挑戦も感じられた。
高く突き出た肩が特徴的なスリムに仕立てられたジャケットや、肩が横に広いダイアモンド型デザインのジャケット、リサイクルプラスチックで作られたコートなど、様々なアウターが登場した本コレクションの中でも、ひと際目を惹いたのが、ショーの終盤に靄の中から現れた漆黒のアウターである。スイス生まれのフランス人建築家ル・コルビュジエのモジュラーマンを模倣したこのダウンには、厚いブランケットコートとボンバーがある。サテンのロング丈ブランケットコートとは、サイドを鎖で留められる。このケープとして身に着けられるダウンブランケットは、Monclerとのコラボレーションで作られた。これはオウエンスとパートナーのミシェルラミーが、ネヴァダ砂漠でのランドアートツアーに参加した時に乗ったフランスのラグジュアリーブランド”MONCLER”とコラボレーションしたカプセルバスのインテリアの一部からインスパイアされている。
CASTING AM CASTING (CLM)
MAKEUP KARIM RAHMAN (OPEN TALENT PARIS)
HAIR DUFFY (STREETERS)
PRODUCTION LA MODE EN IMAGES
MUSIC EXCLUSIVE MIX ‘DOWN IN THE PARK’ BY GARY NUMAN
FW20 PERFORMA WOMEN’S
THURSDAY 27 FEBRUARY 2020, 17H30
PALAIS DE TOKYO, 13 AVENUE DU PRÉSIDENT WILSON 75116 PARIS