福岡県の王塚古墳博物館と熊本県の装飾古墳博物館が、それにあたり、見事なレプリカで、中に入ればあたかも当時の石室にいるかのような体験をさせてもらえる。彩色は実物よりも鮮やかで、これは1400年前の彩色当時を再現しているのか、もしくは顔料の色を忠実に再現できなかったのかは、分からなかったが、図像の大きさや描かれ方は忠実である。劣化した本物では曖昧になって判別しずらかった部分がしっかりと描かれ再現されていて、素晴らしかった。
そして、驚くべきは、レプリカであるにも関わらず、そこにいると何かを感じるのである。それはミニチュアのピラミッドの中にいるだけで、その力を感じられるというのと同種のものであろうか。とにかく何かを感じてしまった次第だ。
もともと古墳の石室や入口に描かれた壁画は、死者を弔い、死後の旅路の安全を守る意図があると言われている。言わば、呪術に属する霊符のようなものと言える。石室を囲む全ての壁や天井に描かれた色彩や図形が共鳴するようにして、何かしらの力を発するというのは、想像できる範囲にある。王塚博物館の原寸レプリカは、内部の立ち入りが自由なので、たまたま空いていたのをいいことに、かなりの長居をしてしまった。熊本の装飾博物館のレプリカは、入口から覗き見ることになるが、それでも装飾壁画が発するエネルギーは十分に感じられることができた。どちらもお勧めである。実物ならば、福岡の竹原古墳と、熊本のチブサン古墳は、営業日ならば常に公開されているので、こちらもお勧めしたい。
古墳を巡るというのは、地味な感じだが、いずれ流行る予感もあるので、まだマークの緩い今が訪ね時かもしれない。人が集まると気が乱れるのは周知の事実だから。
遠くと交流し、感度を高め、感動をしやすい気質にしておく。これが心身の気の巡りを良化させ、自己治癒へと導く。まとめるとこんな感じになるが、こういうのを脇に置いても、古墳巡り、とても楽しいです。いつかツアーします。
※『藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」』は、新月の日に更新されます。
「#52」は2018年3月17日(土)アップ予定。