冷えとりの効果を期待しつつ、しばらく続けてみるつもりだが、その効果が素晴らしかった場合、靴下重ね履きの人生が始まるわけで、なるべく物を持たずに暮らしたいという私の必需品リストに靴下が大量に加わるかと思うと、それだけが気がかりである。
少し話を戻して、そもそも毒というのは何であるかを考えてみたい。排毒も大切だが、毒を入れない、生まない暮らし方を日々実践することも大切なはずだ。出口だけでなく入り口にも気を配りたい。
冷えとりの考え方では、毒というのは、物質的なものと精神的なものがあるとされ、放射能やカドミウムなどの物質的なものはもとより、精神的なものから生じる毒を入れないように、生まないようにするのが大切だと説く。
精神的なものは、気のもつれ、つまり喜怒哀楽欲の五情が乱れることで、それに対応する五臓の機能が弱まり老廃物を排出できずに毒として体内に留まるという。簡単にいうなら、ストレスを溜めない生活や、精神を助成することも大切だということになる。それでも毒が溜まってしまったら、いよいよ冷えとりの出番というわけだ。
昔から言われている、頭寒足熱の実践法としての「冷えとり」を常日頃から意識しておくだけでも随分と健康に影響するだろう。また「冷えとり」では、腹八分の食事も強く推奨されている。
頭寒足熱、腹八分。昔から伝えられている健康の秘訣を、改めて意識させ、具体的なやり方として現代に提案しているのが「冷えとり」の要諦だろう。私が専用靴下を注文する日はいよいよ近いかもしれない。
※『藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」』は、新月の日に更新されます。
「#51」は2018年2月16日(金)アップ予定。