アーティストとしても活動するClaire Milbrahtが編集長を務める、カナダ・モントリオール発インディペンデント・マガジン「EDITORIAL MAGAZIN」。アートからファッション、そして音楽などのカルチャーを、ミュージシャンや各シーンの気鋭アーティストへのインタビューとともに紹介する独自のセンスが支持されている。最新号の刊行に合わせ、3回目となるonjour recordsとのコラボレーションによるエクスクルーシヴアイテムもリリース。
ーーまず『EDITORIAL MAGAZINE』とはどんな雑誌か教えてもらえますか?
Claire「『EDITORIAL MAGAZINE』は新人のアーティストやデザイナー、ライターたちにとって最初に表現する場所であり、アーティストやアートのことが好きでもっと知りたいと思っている人たちのための雑誌です」
ーー『EDITORIAL MAGAZINE』を作っている人たちを紹介してください。
Claire「私は『EDITORIAL MAGAZINE』の編集長で、カナダのモントリオールに住むクレアといいます。絵を描くこととベッドでゴロゴロすることが大好き。そして編集者のオリビアは私の大親友であり同じ部屋に暮らすルームメイト。だから私たちはいつもキッチンでパジャマを着たまま編集会議をすることが多いんです。他にもこの雑誌作りに関わるメンバーは何人かいるけれど、とても少人数のチームでみんな私の友人たち。それぞれがアートやファッション、哲学などの分野でキャリアがあります。『EDITORIAL MAGAZINE』に携わる女性たちはみんないつも私を笑わせてくれて、気取らなくて、そして頭の切れる人たちです」
ーーどうして『EDITORIAL MAGAZINE』を作ろうと思ったのでしょう。
Claire「モントリオールで大学を出たばかりの時、私自身がアーティストだったんだけど自分のペインティング作品を紹介してくれるカッコいい場所がどこにも無かった。当時、私の周りには同じように作品発表の場が無い才能あふれるクリエイティブな友人たちがたくさんいたんです。だから自分で雑誌を作って、そこで彼らの作品を紹介しようと思いました。創刊号は5人くらいしかコントリビューターがいなくて、しかも全員私と同じアパートに住む友人たちでした」
ーー今回で3回目となる『EDITORIAL MAGAZINE』とbonjour recordsのコラボレーションですが、どのようにして始まったのでしょうか? また、bonjour recordsのことをどう思います?
Claire「去年の夏、bonjour records でのローンチイベントに合わせて東京に行くことが決まった時に、一緒に行くオリビアと二人でbonjour records をググってみて『えーっ!私たち、ここに行くんだ!!』って嬉しくなって叫んだことを覚えています。bonjour records は『EDITORIAL MAGAZINE』と同じ考えを持っているように感じる。bonjour recordsはものを作る人たちのファンであり、サポーターでもある。彼らがあれだけたくさんの素晴らしい音楽やアート、ファッションを東京に持って来て紹介しているということはとてもクール。そしてみんなが彼らのセンスを信頼していることもうなずけます。そもそもは、2年程前にMarginal Press というディストリビューターが、私たちの雑誌をbonjour records に紹介してくれて、お店に置いてもらったことから始まったんです。当時はbonjour records のことをあまり知らなくて、Marginal Press から『すごく人気が出ているよ』と言われてたんだけど実感がなかった。でもローンチイベントに行って初めて実感してものすごく驚きました」
ーー最新号(17号)の内容について教えてください。また、あなたのお気に入りのストーリーもあれば教えて下さい。
Claire「私はこの号を単純に見ていて楽しめるものでいっぱいにしたかった。お気に入りはプードル犬を主役にした『Pretty Paws』というストーリー。この号は面白おかしいけれど、同時に重要なメッセージを含んだ真面目な部分もあるのがポイントかな。世間から疎外されていたりあまり声を聞いてもらえなかったりする人たちにスポットライトを当てて、私たちの表現の場をそういったアーティストたちとシェアしていくことがとても大事だと思っています」
ーー最新号のテーマやコンセプトはありますか。
Claire「私たちは雑誌を作る時に特にテーマは設けないのだけど、いつも決まっているスローガンのようなものはあるんです。それは『強い想像力を育てる保証付き』ってこと。読者の人たちにはこの雑誌の中から笑えて、さらにオープンマインドになれる何かを見つけてもらえることを願っています」
ーー毎号参加しているフォトグラファーのモニカ・モギの作品が最新号で初めて表紙を飾っていますが、今回の表紙についてどう思いますか? また、この作品を表紙に起用するに至った経緯などはありますか。
Claire「これは日本の建設作業員の男性を撮った作品で、私のお気に入りの表紙のひとつ。誌面に掲載した他の建設作業員の男性の写真も大好き。モニカはいつも最高のアイデアを出してくれる。今回彼女は日本の建設現場の看板(※建設作業員がお辞儀をしているイラストのもの)の写真を集めているゴーイチ・ホサカというアーティストとコラボレーションしたんです。日本の人たちはあの建設現場の看板を見慣れていてあまり気にとめていないようだけど、私が初めて見た時はあまりの可愛さに信じられなかった! 日本の建設業界は来季のファッションシーンのキーになってもおかしくない。作業着とてもオシャレでそのままランウェイを歩けると思う。表紙の作品に写っているアキという男性は笑顔がとてもチャーミングでスターの素質を持っている。私は、私たちが”ファッション”だと感じるものに対してチャレンジしていきたいです。ファッションに対してあまり生真面目になる必要はないと思うから」
ーー日本でも大人気となっている『EDITORIAL MAGAZINE』のイラストロゴですが、このロゴを作ったアーティストのクレイ・ヒックソンについて教えて下さい。彼はどんなアーティストなのでしょう?
Claire「クレイ・ヒックソンはボブ・ロス(※アメリカで80~90年代にテレビ番組『ボブの絵画教室』にて油絵の技法を紹介し、穏やかでユーモアのある口調で大人気となったアーティスト)みたいな人。とても優しくて、腕もいい。彼みたいに技術とユーモアのセンスの両方を持っているアーティストは少ないんです」
ーークレイの作品は毎号『EDITORIAL MAGAZINE』の付録のポスターとなっていますが、どのようにして彼と出会ったのですか?
Claire「クレイとはちょうど『EDITORIAL MAGAZINE』を始める少し前に出会いました。あれはまさに私の人生を変える忘れられない出来事だった。私たちはすぐに友達になったんです。『EDITORIAL MAGAZINE』の最初のウェブサイトの作り方を教わるために、彼の家に数週間通って。クレイの家はメンフィス・デザインのグッズと変わったマグカップのコレクションであふれていて、彼の作品と同じようにすごくカッコよかった。それ以降、彼はずっと常連のコントリビューターです」
ーー『EDITORIAL MAGAZINE』とクレイ・ヒックソンはどのような関係ですか?
Claire「クレイとの関係は『EDITORIAL MAGAZINE』を特徴付けるのにとても大きな役目を果たしたと思っています。それは友情であり、自然発生的なもの。クレイは今、『Smudge』(http://www.thesmudgepaper.com/ )という新聞のような雑誌を月刊で発行していて、全利益をチャリティーに寄付しています。彼の活動はいつも私をインスパイアしてくれています」
ーーなかなかインパクトのあるイラストロゴですが、このロゴはどうやって誕生したのでしょう。
Claire「『EDITORIAL MAGAZINE』を始めて1年くらい経った頃、突然『ちょっと待って、私たち何かロゴのようなものが必要じゃない?』と思い立ち、クレイにメールしてロゴを作ってくれないかと頼んでみたんです。特に何も指示は出さずに。そしたらクレイからマリファナを吸っている裸の女性のイラストが送られてきて、私はすぐに気に入りました。クレイ曰く、『EDITORIAL MAGAZINE』の醸し出す雰囲気を読み取って作ったと言ってたけど、私はそれを見て私自身のセルフ・ポートレイトだと思った。クレイが送ってきたそのロゴを編集チームの女の子たちに見せると、みんなそれをロゴとして採用するのに反対したのを覚えています。『いかがわし過ぎて、このロゴをプリントしたものを着て外に出る人なんていない!』ってね。私はクレイと話し合って、結局みんなの意見を無視してそのロゴをTシャツやトートバッグにプリントすることを決めた。それが今や大ヒット商品になってとても嬉しいです。あの時反対した女の子たちは、その数年後に私が勃起したペニスの絵をプリントしたTシャツを出すなんて夢にも思っていなかったはず(笑)」
ーー最後に日本の読者にメッセージをお願いします。
Claire「私が悲しかったり二日酔いで落ち込んでいる時に日本の読者のみなさんのことを思い出すと、本当に心が温まります。遠く地球の反対側にいる人たちが、私が『EDITORIAL MAGAZINE』で表現していることを理解してくれていると考えるだけでとっても勇気づけられます。みなさんのことを愛しています!」
interview Yumiko Ohchi(Marginal press)
bonjour records EXCLUSIVE ITEMS & EDITORIAL MAGAZINE ISSUE 17 発売中
アーティストとしても活動するClaire Milbrahtが編集長を務める、カナダ・モントリオール発インディペンデント・マガジン「EDITORIAL MAGAZIN」。アートからファッション、そして音楽などのカルチャーを、ミュージシャンや各シーンの気鋭アーティストへのインタビューとともに紹介する独自のセンスが支持されている。最新号のリリースに合わせて、今回で3度目となるEDITORIAL MAGAZINE x bonjour records限定アイテムが発売。同誌定番のCOMPANY LOGOとシカゴを拠点とするイラストレーターClay Hicksonによるマガジンロゴを使用した人気アイテムが限定ラインナップで新登場。世界中でbonjour recordsのみでの限定発売で本国での販売予定もない、超エクスクルーシヴなコラボアイテム。
【お問い合わせ】
bonjour records代官山店:03-5458-6020
bonjour recordsルミネ新宿店:03-5325-3533
bonjour records福岡パルコ店:092-235-7142
bonjour records 大名古屋ビルヂング店:052-433-1850
bonjour records ZOZOTOWN :http://zozo.jp/shop/bonjourrecords/
ーーPlease describe EDITORIAL MAGAZINE for us.
EDITORIAL MAGAZINE is first and foremost a platform for emerging artists, designers, writers. It’s a magazine for artists and people who love art and want to know it more.
ーーCan you introduce yourself and your EDITORIAL MAGAZINE team to us?
I’m Claire. I live in Montreal. I like to paint and relax in bed. My roommate and BFF is Olivia Whittick, she’s the editor of the magazine. We have meetings in our kitchen in our pajamas. Our team is very small and everyone is close friends. We all have each our own careers in art, fashion, or philosophy. The women behind EDITORIAL MAGAZINE make me laugh, they are unpretentious and smart.
ーーWhat made you to publish EDITORIAL MAGAZINE?
I’m an artist myself, and I couldn’t find anywhere cool to publish my paintings. In Montreal I was surrounded by so many creative friends, with no place to showcase their talent. So I started EDITORIAL MAGAZINE, the first issue was like 5 contributors, all my friends who lived in same building with me.
ーーThis will be the 3rd collaboration between bonjour records and EDITORIAL MAGAZINE. How did the collaboration start? and what do you think of bonjour records?
I remember when Olivia and I decided to come out for the Tokyo launch last summer, we googled bonjour records like screaming “That’s where we’re gona be!” We were so excited. I feel that bonjour records is on the same page as Editorial. They are fans and supporters of people who make stuff. I think it’s really cool they bring so much amazing music, art, and fashion into Tokyo. People trust their taste and I can see why.Marginal Press the distributer introduced EDITORIAL MAGAZINE and stocked our magazine at bonjour records for the first time, like 2years ago! I didn’t know much about them, but Marginal Press would tell me how EDITORIAL MAGAZINE was popular at bonjour records. It actually wasn’t until I went there for the launch party, I was so stunned!
ーーCan you tell us a bit about the contents of issue 17? And what is your most favorite or recommended feature?
I wanted to really pack issue 17 full of fun stuff to look at. I wanted it to feel like a celebrity rag or Reader’s Digest. I love “Pretty Paws” which stars a poodle. I think the issue is funny, but there are serious pieces with important messages too. The same way it’s important to give undiscovered artists the spotlight, I think it’s important to share our platform with people who may be marginalized or typically unheard.
ーーIs there any particular theme or concept for issue 17?
We don’t ever have a theme other than the sentiment “Guaranteed to Build Strong Imaginations.” I hope that readers will find stories in the magazine that make them laugh but also make them open their minds.
ーーThe regular contributor Monika’s work is featured on the cover for the first time. How did it come to the cover work? and what do you think about this cover work?
I also love Monika Mogi’s shoot with the construction men. She always has the best ideas. She worked with artist Goichi Hosaka who collected images of the constructions signs in Japan. I think people in Japan are used to how cute their construction signs are, but when I saw them I couldn’t believe it! I think the Japanese construction industry should be the driving force behind looks for SS2018. I like challenging what we think of when we think of fashion. I don’t think it needs to be so self-serious. The Japanese construction men look chic, they look run-way ready. Aki, the man on the cover, has star quality. I love his charming smile and his Boss coffee. I think we should trade in our models for construction men. It’s one of my favorite covers.
ーーYou may already know but EDITORIAL MAGAZINE’s illustration logo by Clay Hickson is now very popular. We would like to know more about the logo. Can you tell us about the artist, Clay Hickson?
Clay Hickson is like Bob Ross. He’s kind and adept. It’s rare to find an artist with so much skill, who maintains a sense of humour.
ーーHe is also a regular contributor of poster supplement. How did you meet him ?
I happened to meet Clay Hickson right as I was starting EDITORIAL MAGAZINE. It’s just one of those life-changing moments you never forget. We became friends, and he actually taught me how to build EDITORIAL’s first website. I went to his house in the afternoons for a few weeks where he would show me how to make the website. His house was very cool, filled with weird mugs and Memphis design objects, just like in his art. I think he’s been in every issue since the beginning.
ーーWhat do you think of Clay Hickson for EDITORIAL MAGAZINE?
I feel like my relationship with Clay has helped define what EDITORIAL MAGAZINE means. It’s about friendship, and things happening naturally. Clay Hickson now has his own magazine, more like a newspaper, called the Smudge. It’s comes out monthly and all profits go to charity. Clay continues to inspire me.
http://www.thesmudgepaper.com/
ーーCan you explain about this illustration? What does this illustration mean?
About a year into the project, I was like wait, shouldn’t we have some kind of logo? I wrote Clay and asked him if he wanted to give it a shot. I didn’t give him any instructions. He sent me the bong lady illustration and I immediately loved it. He said it surmised the general vibe of EDITORIAL. I saw it as a self-portrait, a naked woman lounging with her weed bong. I remember when I showed the girls Clay’s logo they said there was no way I could actually use it. Everyone thought the logo was too X-rated. They said like “no one will wear this in public!” Clay and I discussed it, and decided to fuck it and just make the t-shirts and tote bags. I’m so glad it has become such a hit. Hehe the girls had no idea I would end up printing erect penises on t-shirts a few years later.
ーーLastly, please give your message to Japanese readers.
When I feel down, like sad and hungover, I think of all our readers in Japan and it truly warms my heart. It makes me feel so positive and excited that people across the planet understand what we’re trying to do with EDITORIAL MAGAZINE. I love you guys !