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text by Nobuyuki Ikeda

FUJI ROCK FESTIVAL 2017 AFTER REPORT

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やはり山の天気は変わりやすい--今年のフジロック・フェスティバルは3日間とも断続的に雨が降っていた。多くの来場者たちは、レインウェアや長靴を着用して雨対策も十分で経験の蓄積を感じさせていた。近隣のアジア諸国から来ている人が目立っていたことは、フジロックの存在が広く知られるようになってきたことを意味する。

開催は7月の28日から30日までの3日間。27日におこなわれた前夜祭も含めると延べ12万5千人もの人たちを集めた。開催前から天候が危ぶまれたにも関わらず、これだけの集客があったのは、今年のラインナップが音楽が好きな人たちの琴線に触れたからだろう。


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初日のヘッドライナーは、ブラーのデーモン・アルバーンが中心となったプロジェクト、GORILLAZには多彩なゲストミュージシャンが登場し、楽しげなステージを展開した。その前にはThe xxが静謐なスタートから後半の盛り上げは圧巻でヘッドライナーに劣らないインパクトを残していた。ホワイトステージの幕開けを飾ったのは、スペイン出身のDOCTOR PRATS。スカパンクを基調としながらもAviciiの”The Nights”をカヴァーしてお客さんたちを沸かせる柔軟性をみせたのが印象的。Catfish and the Bottlemenも2015年にメンバーの急病によってキャンセル経て待望のフジロックを熱いステージで応えていた。深夜のレッドマーキーの目玉であるClarkは、ユニークなダンサーを引き連れてのフィジカルなステージを披露するなど、一日目にしてフジロックならではのコンテンツをたっぷりと堪能できるラインナップ。



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2日目は、コーネリアスと小沢健二の元フリッパーズ・ギターの2人が同じ日に別のステージに登場し、両ステージを観たいファンから悲鳴が。ヘッドライナーのAPHEX TWINは日本向けに用意された映像が爆笑を呼び、変態テクノアーティストの面目躍如となった。 日本のヒップホップシーンで抜群の存在感を誇るPunpee、フジロックに縁深いnever young beachも会場を超満員に。昨年メンバーの体調不良でキャンセルしたThe Avalanchesは、生演奏で従来のサンプリングで作り上げた彼らの音をいったん解体しての新たな姿を提示した。直球でパワー全開のThe Amazonsやサイケデリックな音像を作ったTEMPLESなども含め、充実の中日。

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3日目は、日本の歴史から取った歌詞をファンキーな音の中に織り込んだレキシが親子連れなどの大観衆を楽しませ、超絶技巧のベースを披露したTHUNDERCATがミュージックラバーを圧倒。ブルックリンの新星SSW、Maggie Rogersや前回の出演から成長をみせたThe Strypesなどのミュージシャンも早耳リスナーの注目を集めていた。この日のハイライトは、最終日のグリーンステージを飾ったYUKI、LORDE、BJORKと新旧の女性アーティストの3連発。キャッチーでありながら圧巻のパフォーマンスのYUKI、シンプルに削ぎ落とした音で勝負した若きLORDE、そしていつもなが異次元から舞い降りたかのような別格のオリジナリティを誇るBJORKと、各々の特性を活かした上質なステージで観衆を魅了した。


かのように充実したラインナップで賞賛があがる一方、オーディエンスのマナーの悪さが論議を呼んだのも事実。徹底したマナーを呼びかけ、「世界一クリーンなフェスティバル」と呼ばれたフジロックだが、ファン層の広がりに伴う課題へいかに向き合うのかも注目を集めそうだ。



text Nobuyuki Ikeda

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