OKAMOTO’Sのニューアルバム『NO MORE MUSIC』発売を祝して、NeoLでは収録曲10タイトルにインスパイアされた10記事とイメージヴィジュアルを1ヶ月にわたって随時掲載していく。第9回目は“SAVE ME”をテーマに、ボーイスカウト日本連盟の広報・石井琢磨がフェスなどでも応用できる野外での体調管理、トラブル処置法を教示。
——夏はフェスやキャンプなど野外に行く機会が増えるので、デイリーにも使えるアウトドアでの体調管理法などを教えていただけますか。
石井「まず基本中の基本として、汗をかいて出てしまった塩分と水分をこまめに補うことですね。最近よく販売されている経口補水液などはオススメです。また、服装ですが、フェスではバンドTシャツなどを着る方も多いと思うのですが、コットンは肌触りは良い反面、汗をかくとなかなか乾かず蒸れてしまい、熱中症になりやすいんです。汗を素早く蒸発させてくれるドライフィット仕様のアンダーウェアなどを着ていると、身体を多少ドライに保てると思います。同じく足が濡れっぱなしというのも致命的なので、防水のものがいいですね。熱中症というのは、身体の中の温度が上昇してなるものなので、風通しを良くするのが大切なんです」
——既に熱中症になってしまったり、なりかけている場合には?
石井「血液の温度を下げるために、首と脇の下と足の付け根を冷やすこと。日陰に逃げて、暑くないところで冷やすようにしてください。帽子をかぶったり、保冷剤を首元に巻くのも有効です」
——野外は虫も多いですが、その対処法はありますか。
石井「簡単にできることとしては、暑いので難しいとは思いますが、あまり肌を露出しないこと。草むらの中にマダニがいたり、地面に生息している虫が多いので、長ズボンで、なるべくなら靴下も長いものがいいです。虫は山中のきれいな水まわりにはブヨ(関西ではブトと呼ばれる)がすごく多くて、刺されるとすごく腫れてしまうのですが、ブヨには虫除けスプレーが効かないんです。ブヨ対策としては、薬局で売っているハッカ油を水で薄めて直接肌につけると寄ってきづらくなります。ただハッカ油はブヨにしか効かないので、蚊などには虫除けスプレーと併用してください。ほかには、蜂は黒いものに寄って来やすいので、なるべく明るい色を着るのもいいですね。よく頭を刺されたという話を聞きますが、それは髪が黒いからなんですよ。もし蜂の巣を発見したら、騒いでしまうと敵だと思って襲ってくるので、静かにしゃがんで下がっていくこと。蜂の目線はあまり広くないので、しゃがんで、目線から消えるようにするんです。
虫などに刺されてしまった場合、ステロイドが入った薬だとかゆみがおさまりやすいのですが、体質に合う合わないもあるので確認して使ってください。ブヨや毛虫が刺したときは、最初の応急処置としては、例えばガムテープやセロハンテープで剥がしてあげること。こすると深く刺さってしまので、注意してください。蜂の場合は、アナフィラキシーショックもあるので、必ず病院に行ってくださいね。毒は、体に回らないうちに、いかに早期に吸い出すかが鍵なのでポイズン・リムーバーはぜひ持っておいてほしいもののひとつです。千円くらいでアウトドアショップなどで売ってるものなんですが、病院に行く前の応急処置として、こういうのを1個持って行くのはとても大切なことだと思います。口で吸い出したら回ってしまうので、必ずこうした機器を使用してください。
野外では誰も守ってくれないんです。もしかしたら携帯の電波が届かなくて救急車も呼べない環境かもしれないので、虫さされの薬やポイズン・リムーバーなど、簡単なキットを持つことは自分の身を守る最低限の術だと思います」
——本当にその通りですね。参考になります。キャンプでテントに寝泊まりすることもありますが、注意点はありますか。
石井「川の近くのテントは危険なのでやめたほうがいいでしょう。川辺でバーベキューをしている人もよくいますが、いつ増水するかわからないのでとても危険です。水の通り道は水はけが悪いし、風が当たるので丘の上もオススメできません。崩れる危険がある崖の下はもちろん避けてください。
テントの紐は、基本的に全部ちゃんと張ってください。何日かキャンプする場合は、起きた時に、寝袋を干して乾燥させてあげること。ドームテントでも中身を出してヒックリ返して、底を乾かしてあげたいですね。東日本大震災などボランティアのサポートをすることもあるのですが、テントで寝ていて、湿気で下が濡れて体調を崩す方も多いんです。長期間になるほど、乾燥は大切です。お風呂に入れないときは、濡れタオルや市販のシートなどで体を拭いてあげて、清潔度を保つ。キャンプというのは基本的には生活なので、どうやって火をつけたらいいかなどを考えがちですが、実はそれ以前にいかに自分が快適で、清潔に保てるのがポイントだと思います」
——石井さんが必ず持って行くキャンプの必需品があれば教えてください。
石井「簡易的なナイフと、頭痛薬、絆創膏、包帯や三角巾などの救急道具セットは必ず持って行きます。山でどこかから落ちる可能性もゼロではないので、捻挫や骨折時にすぐに押さえられるものを持っていく。ない場合は、Tシャツを切って三角巾にしたりもできます。ボーイスカウトでは、それらと電気、ヘッドライト、笛も持つように言います。なにか事故があったときに、声は出せなくても笛で助けが呼べるので。電気は、最近では虫が寄ってきづらいLEDタイプのランタンがあります。明るいガソリンのランタンを立てて近くを照らし、食卓周りはLEDが良いでしょう。傘では手をふさいでしまうので、上下セパレートの雨具などもあると便利です」
——野外活動から少し離れますが、ボーイスカウトで学ぶベーシックな知識はどういうものがあるんですか。
石井「本格的なボーイスカウトの活動に行くのが、小学5年生くらいからなんですが、テクニック的なものとして学ぶのは、共通の敬礼や簡単なロープワークですね。あとは体温と脈を正しく計ること、自分の身近なもので計測を行うことなど。例えば、僕だと自分の一歩の幅が75cmくらいなんですけど、100メートルが何歩になるかを覚えておいて、ハイキング中に何歩歩いたかで距離を割り出したりします。テントを張るにも、物干しのために紐をつかうのにもロープワークは役に立ちます。日常生活にも色々応用できますし、中高生くらいになったら、様々な知識を応用して、見張り台や橋、調理台も作れるようになりますよ。
一般に応用できるものとしては、雲の形で天候を見分けるというものもあります。うろこ雲は低気圧の前兆なので、翌日は雨または風が強くなるというようなもので、全部が当たるわけではないですが、これもひとつのアウトドアスキルだと思います。太陽と地平線から時間をはかるやり方もありますね。アルミ缶だけでお米を炊く方法、地図とコンパスで自分の居場所を発見する方法、水を確保する方法など、きりがないくらいあります(笑)。ボーイスカウトではこういう知識をゲームにして覚えるんです。楽しいとすぐに覚えますからね」
ボーイスカウト日本連盟
ボーイスカウトとは、野外で、子どもたちの自発性を大切に、グループでの活動を通じて、それぞれの自主性、協調性、社会性、たくましさやリーダーシップを育む。プログラムはバラエティに富み、各年代においても様々。1907年、ロバート・ベーデンーパウエル卿がイギリスのブラウンシー島に20人の少年たちを集めて実験キャンプを行ったのがボーイスカウト運動の始まり。いまでは、世界では164の国と地域、約4000万人、日本全国には団と言われる活動団体が約2000あり、約10万人が活動している。また、アメリカのNASA(航空宇宙局)の宇宙飛行士の2/3以上がスカウト出身者であり、アポロ計画で月面に立った宇宙飛行士の12人中11人がボーイスカウト出身。野口聡一宇宙飛行士もボーイスカウトの出身。その他、多くの大統領や起業家、映画監督、ミュージシャンなど幅広い分野で活躍する人材を輩出している。
https://www.scout.or.jp/
OKAMOTO’S
『NO MORE MUSIC』
8月2日発売
(Ariora)
https://www.amazon.co.jp/NO-MORE-MUSIC-初回生産限定盤-DVD付/dp/B072VKB8QQ/ref=pd_lpo_sbs_15_img_1?_encoding=UTF8&psc=1&refRID=8MR686V41KK8S9ZDA0PC
https://itunes.apple.com/jp/album/no-more-music/id1253780325
photography Takuya Nagata
styling Masako Ogura
hair & make-up Katsuyoshi Kojima(TRON)
model Leo(Be Natural)/Keito (STAARAY)
interview & edit Ryoko Kuwahara
Leo
T-shirt ¥16,000/JOHN LAWRENCE SULLIVAN
pants ¥29,000/TOGA VIRILIS
Keito
sweat stylist’s own
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JOHN LAWRENCE SULLIVAN
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