OKAMOTO’Sのニューアルバム『NO MORE MUSIC』が8月2日に発売されるのを祝して、NeoLでは収録曲10タイトルにインスパイアされた10記事とイメージヴィジュアルを1ヶ月にわたって随時掲載していく。記念すべき初回には、90年代生まれのOKAMOTO’S が、90年代から東京カルチャーを牽引し続ける藤原ヒロシをゲストに迎え、“90’S TOKYO BOYS”をテーマに対談を敢行。
レイジ「おはようございます!」
藤原ヒロシ(以下HF)「格好がチンピラみたいだね(笑)。ハマくんは清掃員っぽいし、THE ALFEEみたい」
——えっ、THE ALFEE?
HF「一度だけライヴに行ったことがあるんですよ。坂崎(幸之助)さんがフォーク好きで、僕もフォークを通っていたから話をして、渋谷公会堂のライヴに呼ばれたんです。楽屋に行ったら、坂崎さんがクラッシュの完コピみたいな格好をしていて(笑)」
一同爆笑
レイジ「何年くらいのことですか?」
HF「90年代だと思う。僕の中のイメージと随分違っていて自由だったから、この振り幅はTHE ALFEEかOKAMOTO’Sかということで」
——なるほど(笑)。いきなり90年代の話に突入しましたが、改めまして、今回はOKAMOTO’Sの特集ということで、リードトラックとなる“90’S TOKYO BOYS”をテーマに対談をお願いできればと。
HF「“90’S TOKYO BOYS”にはあまり興味がないかな。アルバムは前半も良い曲はあったんですが、後半6曲目からの流れが素晴らしい」
——前提として、前作の「BL-EP」同様、今作も藤原ヒロシお墨付きということでよろしいですか?
OKAMOTO’S(凝視)
HF「はい(笑)。世の中に生々しさが欠けているなか、このアルバムの生々しさは素晴らしい」
——どういう意味での生々さですか? 楽器の部分でしょうか?
HF「楽器も、音質的なものも全て含めて。変な話、僕は日本人にSuchmosを求めないというか。Sachmosってすごくいいんだけど完成されすぎていて、フワ~ッと洋楽がラジオから流れてる感じ。インターナショナルの正統派の音楽より、生々しいほうがいい」
——生々しいという感想ですが、OKAMOTO’Sとしてはそこは考えていました?
レイジ「歌詞も大分変わったからですかね」
HF「英語が多いのは鼻につきますね。日本語にしたら女々しすぎるようなことを、格好よく英語で歌ってやがるという(笑)」
ショウ「あはは! まさに狙って女々しくしている部分もあります。ここ最近邦楽に英詞が増えたと思いますが、あまりおもしろくないものが多い気がしていて。俺だったらもっとおもしろく書けるぞと(笑)」
レイジ「半分母国語だしね」
——声や歌い方も随分違いました。
ショウ「前より叫ばなくなりました。もう少ししゃべり声に近い感じで歌っているので、それもある意味生々しいのかもしれないです」
コウキ「音で言うと、何回も丁寧に録ったりはしてないので、そういうラフさはあるかもしれません」
レイジ「今回は基本的にベーシックは1、2回しか録ってないんです。バーッとやって『いいんじゃない?』という感じだったので」
ショウ「あと、一番簡単なコードしか使わないで曲を書いているような人たちが、わからないまま難しいコードを使っているような偽物っぽい感じにあえてしているので、それも大きいかもしれない」
HF「偽物っぽいけど、メジャーセブンを多用していたり?」
ショウ「まさしく(笑)。理論ではなくフィーリングのまま使っているところが、いわゆるきちんとした上質な音楽ではなくしている」
HF「確かに本物のディスコやR&Bを好きな人がこのコードでこの音楽をやっても面白くないけど、ロックというか若いOKAMOTO’Sのようなバンドがやるからこそちょうどハマっている。上手い人がやっちゃうと単なるフュージョンになるし、すごく難しいんですよ。山下達郎の追っかけのようになったり、LAっぽくなってしまったり、大抵“〜っぽく”にしかできないけど、これはOKAMOTO’Sにしかできないものになっている。曲順も良かったけど、誰が決めたの?」
レイジ「大部分は俺ですね。レコードで考えて、6曲目以降がB面になるという。あとざっくり言うと、A面は全部ショウ作曲で、B面はコウキが圧倒的に多い」
HF「そうなんだ。じゃあ僕はB面派だから、コウキくんと仕事したほうがいいってことですね(笑)。リード曲は?」
ハマ「”90’S TOKYO BOYS”です。”NO MORE MUSIC”もMVを撮るので、セカンドリードのような扱いです」
レイジ「“BROTHER”と“NEKO”もアルバムより前に出ているので、リードと言えばリードですけど」