ロシア出身、ニューヨークを拠点とするフィルム・ディレクター、Nadia Bedzhanova。彼女の映像作品は儚く、どこかノスタルジックで、するりと記憶をすり抜けていく美しい夢のようだ。独特の間と親密な会話、透明なヴィジュアルーー観る者を瞬時に惹き付けるこのような映像をどのように生み出しているのか。インスピレーションから手法に至るまでを聞いた。
——まず、あなた自身のバックグラウンドを教えてください。
Nadia「ニューヨークを拠点として7年くらい経ちます。最初は地元のモスクワで、その後ニューヨークに移って勉強しました。大変だけど素敵な旅のような人生を楽しんでいます。現在はLower East Sideにいるけれど、街の中で最も古くてクールなエリアが壮大な変化を遂げる経過を目の当たりにできてすごく幸運だと思います。街の音、匂い、スケーター、ハト、ゴミで囲まれた美術館やチャイナタウンを通して街を感じることは創作の刺激になっています」
ーーあなたの映像は青みがかった色が特徴的だと思います。絵画など、なにか自分が好きな作品の影響はありますか。また、インスピレーションの源は?
Nadia「ピカソの“Blue Period”が好きなのですが、作品との関係性は全く考えていませんでした。無意識に、青色にモチーフがあるのかもしれません。なぜなら、モスクワみたいに、ニューヨークの冬みたいに、人々の心みたいに、冷たいから。
Man Ray、Marcel Duchamp、Egon Schiele、Pink Floydと、Maya Derenは私の永遠のインスピレーションです。
撮影中は、雰囲気、登場人物間の関係や、彼らがどういう気持ちか(快適であるか、何を考えているのかなど)を主に考えているので、暖色か寒色か、明るめにするか暗めにするかを判断するのはその後の作業です。デジタルと8ミリや、レッドカメラとiPhoneのように形式を混ぜるのも好きです。編集のプロセスはとても楽しいんです、作品との特別な関係が育まれる時だから。映像作品を作ることは私にとって至上の喜びです」
THINGS I LIKE ABOUT YOU / Trailer from Nadia Bedzhanova on Vimeo.