ベネチア国際映画祭金獅子賞、アカデミー賞脚本賞をはじめ、数多くの賞に輝いたソフィア・コッポラ監督。彼女の最新作『ブリングリング』(原題:The Bling Ring)が12月14日(土)に公開となる。前作『SOMEWHERE』から3年ぶりの作品となる本作は、第26回 東京国際映画祭にて特別招待された作品。10月17日、オープニングセレモニーのグリーンカーペットでは監督ソフィア・コッポラと本作のエグゼクティブ・プロデューサーであるフランシス・フォード・コッポラと親子で登場し大きな話題を呼んだ。そしてその翌日、ジャパンプレミア上映が行われた。ソフィアのファンで埋め尽くされた客席を前に舞台挨拶、そして質疑応答が催された。
(質疑応答)
MC「今まで何度か来日されたことがあると思いますが、こうしてお客さんの前で舞台挨拶するのは初めてとなるんですよね! それを踏まえて感想をお願いします」
ソフィア「今夜、この場所に来れて本当に嬉しいです。初めて東京国際映画祭に参加できて光栄ですし、長年私のファンでいてくださる皆さんのサポートに大変感謝しています。そして今日ここに来てくださったことにお礼を言いたいと思います。ありがとうございます!是非、映画を楽しんでください」
MC「最新作『ブリングリング』は、実際に起こった事件をもとにしていますよね。事件を起こした若者たちの感情がどのように動かされていったのかが描かれていますが、そもそもこの題材を映画にしようと思った理由は何ですか?」
ソフィア「この事件を知った時、極端な話だなと驚きました。昔から若者がいたずらをするのは当たり前でしたけど、ここまですることにびっくりしました。そしてこれは、コンテンポラリーなことだと思いました。10年前だったらこんなことは絶対に起こらなかったことだと思うし、今の若者のカルチャーをまさに象徴している事件、そしていかに私の育った時代と現代が違っているかといことを伝えられたらと思って描きました」
本作の舞台はハリウッドスターや人気モデルが数多く暮らす、ロサンゼルス郊外の高級住宅地カラバサス。セレブリティの生活に憧れるニッキー(エマ・ワトソン)ら5人の少女たちは、セレブの豪邸をインターネットで調べ、次々に不法侵入しては、きらびやかなブランド服やジュエリーの数々を盗み出す。やがてその行為はエスカレートしていき、彼女たちを二度と後戻りできない場所へと追い込んで行くーー。
被害者にはパリス・ヒルトン、オーランド・ブルーム、リンジー・ローハンといったハリウッドセレブ。その被害総額は3億円を超え、全米メディアを騒然とさせた実際の事件が基になっている。
これまでの優等生イメージを覆し、欲望の赴くままに盗みを働くセクシーなニッキーを演じるのは、『ハリー・ポッター』シリーズでお馴染みエマ・ワトソン。実際の被害者であるパリス・ヒルトンがなんとロケ場所として自宅を提供し、かつて見たことのないゴージャスなクローゼットを披露している。
ルイ・ヴィトン、クリスチャン・ルブタンなど、ラグジュアリーブランドのおびただしいアイテムから、カニエ・ウェスト、M.I.A.らの音楽、さらにはSNSやゴシップサイトの写真までもがミックスされた映像は、キラキラとまぶしく、しかし残酷で儚い。少女たちの光と影を鮮烈に焼きつけた、まさに今のソフィア・コッポラにしか撮れない究極の青春映画となった。