奇才、もしくは彼が映画界で巻き起こしてきた魔法の威力からすれば、もはや怪人と呼ぶにふさわしい。長編デビュー作『デリカテッセン』、日本でも大ブームとなった『アメリ』をはじめ、ジャン=ピエール・ジュネの創り出す世界は常に奇想天外。そしてシニカルだけど、なんだかとっても温かい−−−。そんな彼が初めて3Dに挑んだ『天才スピヴェット』は、弱冠10才の天才少年が家を飛び出し、貨物列車に飛び乗ってアメリカ大陸を横断する物語だ。インタビューに現れた怪人ジュネは、孫ほどに歳の離れた主演のカイル・キャトレット君を前に、思いのほか表情が緩みっぱなし。カイル君もまたジュネの一挙手一投足に弾けるような笑顔が絶えない。はてさて、お二人の口からはどんなお話が飛び出しますことやら。
−−−本日は世界的な巨匠であるジュネ監督と、若きヒーローであるカイル君にお会いできて興奮してます。
ジュネ「何でも聞いてくれたまえ」
カイル「コニチワ!!」
−−−ジュネ監督はこれまでにも頻繁に来日されているとか。
ジュネ「そうだね。これで8回目になる。初来日は実に22年前の出来事だけど、あの時はソニーの最新式カメラに目を輝かせたりして、あらゆる瞬間に胸の高鳴りが止まらなかった」
カイル「ボクはこれで2回目! 前にコマーシャルの撮影で来たんだ。その時は東京の別の場所に10日間くらい泊まったよ」