話を夜明け前に再び戻すと、夜明けという時間帯は、実は人々を常に悩ますあらゆる種類の欲望を沈めてくれる時間帯でもある。
ちょっと飛躍した言い方になるが、それぞれ個人の持つ波動を、宇宙の波動に合わせてくれる。
波動は、だいたい近い人や物に合ってしまいがちで、学校や会社や地域の持つ波動に望まなくても合わせて生活しているのだが、波動にも低い高いがあって、波動の低い場や人に接していると、心身の不調になりやすい。その逆に、聖地などの波動の高い場所や、運のいい人、生活を謳歌している人などに接しているとこちらの波動も高くなる。
夜明けというのは、この波動の高低を超えて、宇宙のニュートラルな波動に合わせる場だと自分は感じている。波風立たないシーンとした世界の波動。あらゆるものが生まれ、あらゆるものが帰っていく宇宙という場所の波動。
もう少し平たく言えば、本来の姿に戻れるのが、夜明けの時間だと思う。脳がぼわわんとした中で、漂うように夜明けに会っている時間というのは、辺境の地を旅しているのと一緒だと思う。
かつてヨルダンの砂漠で野宿した時の孤独を超えた安心感に包まれた感じは、まさに夜明け前の空気と一緒だ。
この線で話をさらに飛躍させると、「夜明け前に朝に会う」というのは、地球というしがらみから解き放たれて、宇宙空間を漂う旅行だと言える。
宇宙旅行、いいではないか。
ちなみに宇宙、地球と便宜的に隔てたが、地球というのも宇宙の一部であるのだが、この話は長くなるので、また別の機会に宇宙については語りたいと思う。宇宙は空の上の方に無限に広がる空間だというのが一般的な認識だが、それとはちょっと違う宇宙観もあるので。
さて、締めたい。
せっかく地球に生まれて来たのだから、この夜明けの時間帯を味わない手はないと心より思う。自分は毎日これを楽しみにして生活している。
美しく健康であるためには、体の健康だけでなく心にも同じく気を配りたい。体のメンテナンスのためにジム通いなどをするように、心のメンテナンスのためにも何か一つしてみたい人には、ちょっとハードルがあるけれど、試し甲斐があるオリジナルメソッド。
いつか「夜明けの会」を作って、愛好家と集いたい。
(つづく)
※『藤代冥砂「新月譚 ヒーリング放浪記」』は、新月の日に更新されます。
「#10」は11月22日(水)アップ予定。