生食ばかりが果物の食べ方じゃない。
と、思います。
いつもはお弁当の話を書いていますが、今日は思い切り脱線して「クッキングアップル」という種類のりんごについて書きたいと思います。
日本だけではなく、世界的にみても多く生産されているりんご。日本では、りんごに限らず果物は生食することが前提に求められているような気がしますが、それは世界の常識ではありません。加熱調理向きの品種も多く生産されているのです。生食向きのりんごを「イーティングアップル」や「デザートアップル」などと呼ぶのに対して、調理向きのものを「クッキングアップル」と呼んで区別しているのですね。
日本では、まだまだ認知度の低いクッキングアップルですが、生産はされています。そのなかでも、じわりじわと人気を広めているのがイギリス生まれの「ブラムリー」ごつごつとしたビジュアルが、逆にフォトジェニック。ぴかっと鮮やかな緑色も美しいです。
品種の誕生がめまぐるしい昨今ですが、なんとこのブラムリー、イギリスで200年ほど前に誕生したものです。しかも、イギリスで生産されるりんごの45%ほどを占めるというから、人気のほどは推して知るべし、です。
蜜が入っていて甘そうにも見えますが…
生のままがぶりっっといけば、渋みと酸味で歯の裏がキシキシ。「うー」と低くうなってしまいました。
お菓子などにもよく使われる紅玉の酸味などかわいいものです。その比ではないほど、強烈な酸味です。興味を引くのは、その味わいだけではありません。では、前情報なしに加熱の状況を写真でレポートしましょう。写真では分かりにくいかもしれませんが、ザク切りもザク切り、かなり大胆に大き目カット。中火で煮込んでいきます。
どん!
5分もしないうちに、こんな感じに煮溶けてしまいました。なんて面白いんでしょう。何も負荷をかけずとも、ほどけるように煮溶けるだなんて。こんな特徴もブラムリーの面白いところです。
この後、糖度40%ほどのジャムに仕上げましたが、それでもきゅんとするほどの酸味は残っています。しっっっかりと。「甘酸っぱい」味わいが好きな人にはたまらないと思います。もちろん酸味だけが魅力なのではなく、香りもしかり。加熱しても、独特の香りは失われることなく残って、いつまでも酔わせてくれるのです。
「甘い」ものとして食べるだけではなく、肉料理に添えたり、チーズと一緒に食べるのもまた良し、です。まだまだブラムリービギナーには違いませんが、少しだけブラムリーの魅力が分かったような気がしました。