療法食あるいは処方食という言葉を聞いたことはありますか?
疾患を抱えた犬猫用に作られたフードで、通常、獣医師によって処方されます。
疾患ごとに必要な栄養や制限すべき成分があるので、
彼らが健康に過ごすためには食事管理がとても重要になります。
療法食には、各臓器疾患、糖尿病、アレルギー、関節炎、肥満など多くの種類があります。
あるとき、こんな相談がありました。
「猫が膀胱炎になり、先生に勧められたフードを食べています。
ネットで販売している方が安いのでそちらで購入したいんですが、成分とかに変わりはないんですよね?」
フードメーカーの名前が同じで製品名も同じであればもちろん成分に違いはありません。
しかし、勧められるわけではないのです。
この猫はストラバイト結晶による膀胱炎を起こしていました。
これは、尿がアルカリ性に傾くことで起こりやすくなるため、尿を酸性に傾け、結晶の成分となるミネラルを制限したフードが処方されていました。
しかし、このフードを食べ続けていれば大丈夫というわけではないんです。
実は、尿が酸性に傾いたときにできるタイプの結晶も存在します。
知らぬ間にその結晶が結石になり、尿道や膀胱から石を摘出するような手術を余儀なくされることもあります。
そのため、定期的に尿検査を行いながら、フードをいつまで続けていくかなどを獣医師に検討してもらうことが重要になってきます。
安い上に重たいフードを数日で家まで届けてくれるネット購入は、確かに魅力的だと思います。
でも、療法食は動物の様子をかかりつけの獣医師に定期的に診てもらいながら続けることで初めて効果を発揮します。
そして、誤った使い方をすれば危険にもなり得てしまいます。
是非、そのことを心にとめてフードの購入について選択してもらえたら嬉しいなと思う相談でした。