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text by Ryoko Kuwahara

IWD特集:長尾悠美(Sister)x 能條桃子(FIFTYS PROJECT)




セレクトブティック「Sister」は、2025年の国際女性デーに合わせて3/7(金)〜3/9(日)の3日間、“政治分野のジェンダーギャップ、私たちの世代で解消を。”を掲げて活動する「FIFTYS PROJECT」と共に、「FIFTYS PROJECT ジェンダー平等とわたしたち」を渋谷PARCOにて開催。
FIFTYS PROJECTの活動を知ると共に、ジェンダーと政治にまつわるこれまでの歩みとこれから、国会議員における女性の割合の海外との比較など、来場者と一緒に考える展示に加え、昨年多くの女性をエンパワメントしたNHKドラマ『虎に翼』のタイトルバックでも知られるシシヤマザキのグッズを展開。
1945年に女性が選挙権・被選挙権を得てから80年という節目に、渋谷の商業施設で政治に関しての問いかけを投げかけたSisterの長尾悠美とFIFTYS PROJECTの能條桃子に話を聞いた。




Sister:2008年にオープンしたセレクトブティック。国内外からセレクトしたデザイナーズブランド、ヴィンテージアイテム、オリジナルプロダクト、洋書や雑貨など豊富に扱う。コンセプトである”女性のためのショップ”として10周年を機に女性支援企画をスタート。毎年コラボレーターを変え、様々なアーティストとジェンダーをテーマにした企画を行なっており、今年で7度目のイベントとなる。https://www.instagram.com/sister_tokyo/




FIFTYS PROJECT:政治分野のジェンダー不平等の解消を目指して、ジェンダー平等実現を目指して地方議会議員に立候補する20代・30代の女性(トランス女性を含む)やノンバイナリー、Xジェンダー等の方を増やし、横に繋ぎ、一緒に支援するムーブメント。https://www.fiftysproject.com/


――今回のSisterとFIFTYS PROJECTコラボレーションはどのように始まったのでしょうか。


長尾「毎年Sisterでは国際女性デーにフォーカスした取り組みを行なっていて、今回の企画に関しても、昨年の夏頃からリサーチを始めていて、横浜国立大学に研究室をもつ彫刻家で評論家の小田原のどかさんに相談している中で『女性と刑法』『参政権』といったキーワードが出てきていたことから能條さんをご紹介いただいたんです。いつも能條さんのラジオを聞かせていただいたので、お会いできて念願が叶ったという感じで。コラボレーションを前提としてのご紹介だったので、すぐに具体的な話ができました」


能條「私も長尾さんの活動は知っていました。政治はどうしても硬いとか偏ってるという印象があって遠ざけられがちなので、こうした企画に呼んでいただいて嬉しかったです」


――政治をテーマとしたポップア商業施設の中で展開するということで、どういう見せ方を考えられたんでしょうか。


長尾「Sisterのお客様は20〜40代の女性のお客様中心ですが、その方々から政治やフェミニズムに関心はあるけどいまいちわからないという声を聞くことがあって。だからパルコでの展開でも、そういう方に向けた“導入”にするよう心がけたいということは最初の時点で能條さんとお話して、FIFTYSさんから頂いた資料を、よりわかりやすく見やすく展示する形で進めていきました」


能條「一つのフィールドで活動していると、どんどんニッチになっていく傾向があると思うんです。だから私が資料を選ぶと研究発表みたいになってしまう(笑)。そこを広げるためにも、色々な資料をお渡ししたうえで長尾さんに選んでいただく形にしました。実際に配置してもらって、見ている中で、『こっちのデータの方が今に近いかも』とか『こっちの方が入ってきやすいかな』と思ったものは随時ご提案して、意見のやり取りをさせていただきました」








――ビジュアルを担当されたシシヤマザキさんとのコラボレーションも素晴らしかったです。


長尾「毎年チャリティグッズを作っていることもあって、元々何かグラフィックは必要だという話はしていたんです。『女性と政治』というキーワードから浮かぶものとして、やっぱり『虎に翼』のシシヤマザキさんのタイトルバックの印象は鮮烈じゃないですか。多くの方がご覧になっていたビジュアルなので、そこからでもみなさん色々考えることがあるんじゃないかなって。それでご協力いただけないかと連絡したところ快諾いただけて、すごく嬉しかったですね。
タイトな時間でのお願いだったので描き下ろしではないのですが、何枚かご提案いただいたシシさんの作品の中から選ぶという形でやらせていただいて。いろんなイラストがあったんですけど、この足のイラストがしっくりきました。女性の足跡というところも掛け合わせて何かできたらいいなというので、このキャッチコピー(Steps Towards Gender Equality)も能條さんに考えていただいて、ピースをはめるように展示を作っていきました。ビジュアルの部分でシシヤマザキさんが決まって、そこから一気に進みましたよね」


能條「そうですね。私も去年は『虎に翼』にすごく励まされたんです。半年間毎日勇気づけられていたから、そのビジュアルを実際に見ることができただけですごい!ってワクワクしたし、やっぱり1歩1歩進んでいくしかないなとも改めて感じました。
しかも、今年は女性参政権から80年で、雇用機会均等法から40年という節目の年でもあります。まだこの位置かとも思うけど、進んできた部分もある。この遅々としたペースでは困るけど、進ませてきてくれた方たちへのリスペクトも最近とても感じていたので、本当にぴったりだと思いました」











――個人的には、ここ最近アメリカなどの世界情勢もあって、バックラッシュを感じてています。今年の国際女性デーも、例年に比べて元気がないような気もしたんですが、お二人の感触は?


能條「すでに女性だけにとどまらず、様々なジェンダーが平等に向けて取り組みを行なっているから格段目立つことがなくなったのかもしれないというポジティブな見方もできる一方で、2、3年前から国際女性デーを1つの流行りのタイミングとして使っていた企業たちがいたことは正直感じていました。そういう本質をわからず広告キャンペーンで終わらせていた企業たちが減ったのかもしれないとも思います」


長尾「打ち合わせの時にそういう話も出たんですけど、どんな状況であれ続けていくしかない、日々更新していくしかないですよね。そうやって続けている姿を見せることで、こんな楽しいこともできるよって例になれたらと思います」


――それが来場者へのメッセージにもなっているんですね。


長尾「はい。今回はエントランス真正面の商業施設の顔となるような場所でのポップアップです。せっかくこの場所で政治をテーマにやらせていただくからには、いろんな方に知っていただきたい。そしてファッションという入り口から入ってきた方でも、アートが窓口の方にも、自分たちの生活と地続きである政治に対して危機感を持って、アクションを起こしたいと思ってもらえる展示になればいいなと思います」


――FIFTYS PROJECTからは地方選挙でも女性の立候補が立っていらっしゃいました。特に地方ではずっと同じ男性が長に就くことが多いんですが、そこに対して女性の立候補者が生き生きと発信されていたのが印象的だったし、もっと広げていかなきゃいけないと感じていたので、こうした場所で発信されるのは本当に良いことだなと思います。


能條「ありがとうございます。本当に知ってもらうことが重要ですよね。選挙の時だとなんとなく避けてしまう方も多いと思うんです。ビラももらいたくないって感じで。ここでの発信内容も核は同じなんですけど、見え方が違うだけでポップに感じられる。この機会にみんなに浸透したらいいなと思います」








text Ryoko Kuwahara(https://www.instagram.com/stories/rk_interact/

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