Photo by Yuma Nishimura. Courtesy of Gallery Common.
Gallery Commonは2024年5月25日から6月23日まで、アメリカ人アーティスト、ジャクリーン・サーデルの日本初となる個展「Bliss!」を開催。
本展では、作家の東京における1ヶ月あまりの滞在制作で生まれた新作から、風景、身体、そしてスピリチュアリティの関係を探求し続ける大型の彫刻作品とインスタレーションを中心に発表。
以下、アーティストによるステイトメント。
親密さと欲望の間に存在している私の作品は、反復的かつ儀式化された動きがもたらす喜びに満ちています。マクラメ、編み物、結びといったテクニックを使ってナイロンのドックケーブルを巻きつけ、編み、結ぶことで、接続的なドローイング・デバイスとしています。それは、か細さと弛みにボリュームと形状を調和させるような、変容的なプロセスです。こうしたテクニックのパフォーマティヴで儀式的な性質により、工業用ロープとスチールで構成されたバスレリーフの壁や、床、天井にわたる彫刻を生み出します。作品の構図は地形のようにも見え、それは大きな作品の補助線として地形図やドローイングをコラージュする制作手法を反映しています。
Jacqueline Surdell, 2024. Photo by Yuma Nishimura. Courtesy of Gallery Common.
私は心理的に、あるいはその土地にとって意義のある場所を選ぶ傾向にあります。地図の持つ遠近法的な性質により、視ることが解釈の主な方法となることで、近現代の絵画史とも接続します。同時に、素材とクラフトに基づくプロセスは、フェイス・ワイルディング、シーラ・ヒックス、ムリナリニ・ムカルジーをはじめとしたファイバー・アーティストの先駆者たちを視覚的に参照することで、作品をファイバー、そしてテキスタイルの歴史へと位置付けます。このように、作品は伝統的な分類方法に身を委ねつつ同時にそれを拒否することで、まったく新しいものを生み出していると言えるでしょう。
Jacqueline Surdell, 2024. Photo by Yuma Nishimura. Courtesy of Gallery Common.
本展「Bliss!」で発表する作品は、特定の場所における俯瞰と、まさに『ここ』や『そこ』にいることの物理的な実体験とに起きる変容をめぐる私の思弁(speculation)であり、思案を声にだしてみたようなものです。作品は、親密さと距離の間にあるスペースをさぐりながら、ジャンルとしての風景について考える新たな方法の探求です。展覧会における部屋やガラスケースの一つひとつは、変動する色彩や一日の時間帯ごとに描かれる、時間の経過という移り変わりの親密な領域を映し出しているのかもしれません。作品はゆっくりとした観察と情熱的な静寂とを促します。大胆な色彩、肉感的で彫刻的な作品は、光が大地へと入り去っていく様や、葉と葉の間の薄暗い影、緩んだ髪の束といった、そこにぶら下がりながら身を委ねているものを考察します。作品とは結局のところ、発見と、知覚と、情熱の訓練なのです。
Courtesy of Gallery Common.
ジャクリーン・サーデル「Bliss!」
5月25日(土)〜6月23日(日)
会場:Gallery COMMON
URL:http://www.gallerycommon.com/
住所:東京都渋谷区神宮前5丁目39−6 B1F
開館時間:12:00 – 19:00
休館日:Mon, Tue, Holiday
入館料:無料