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「ピースフルな沖縄ヴァイブスを世界に広げたい」Grace Aimiインタビュー




ハスキーな歌声に漂う根底的なハピネス。Grace Aimiが表現する音楽は、嫌味のないナチュラルなホープネスでクスっと笑わせてくれる優しい幸福感に満ちている。“車の中で歌っていたあの子だ!”ウクレレを弾く弟と共に表情豊かな歌声を響かせる少女=当時16歳のGrace Aimiが始めた、車内でラフに歌うyoutubeチャンネル「Grace & Gabe」は、着実にフォロワーを増やし登録者数10万にせまる人気を獲得していた。2020年、コロナ禍の夏に『Eternal Sunshine』でソロデビューした際には、その成長ぶりと共に変わらない歌声でかねてからの多くのファンを喜ばせたのも記憶に新しい。まだまだ始まったばかりの、現在進行形となる彼女のプロローグを追体験できればと思う。



ーー2016年に始めたYoutubeチャンネルが全ての始まりだったと思うんですが、どういったきっかけからあの配信をスタートしたのですか?


Grace Aimi「私の家族みんな音楽が大好きな人たちで。兄弟もおじいちゃんもおばあちゃんも、ずっとお家で一緒に歌ったりしてたんです。お母さんもお兄ちゃんもギターを弾けるし、家族の誰かのためにみんなで歌ったりするのも日常だった。Youtube始めたのも、その延長って感じでしたね」


ーーあれはまさに普段のままの姿なんですね。


Grace Aimi「そうです(笑)。最初は人に見られることを意識して、何回も撮り直してたりもしてたんですけど、だんだん『別に間違っても良いんじゃない?』って思えるようになって(笑)。弟も私もナチュラルにやってる方が楽しいし、見てる人も自然体の方が親近感を感じてくれるから。それからは本当にいつもの姿のまま歌うようになったかな。純粋に自分たちが楽しんでることが、見てる人の幸せにも繋がるんじゃないかなって思えるようになりました」




ーーもともとはカバー曲を歌うことから始めていたと思いますが、歌詞が浮かび始めたのはいつ頃ですか?


Grace Aimi「ちっちゃい頃から日記を書くのが好きでずっと書き留めてたんですけど、一番最初に歌詞らしい歌詞を書いたのは中1の時かな。認知症のおじいちゃんに対する想いを『ファインディング・ニモ』(2003年のディズニー映画)に照らし合わせて書いたのが今思えば初めだと思います。意識的にちゃんと歌詞を書いてるなって思ったのは、高一の時。その時溜まってた感情を、Youtubeのビートを聴きながら日記に書いてたら急にメロディが浮かんで。日記の中の言葉を並び替えて、韻とかも意識してみたら歌詞がメロディーにキレイに乗ったんです。お家帰ってすぐにお母さんに『聴いてー』って聴かせたら、純粋な反応で『良いねー』って言ってもらえたのが嬉しくて。それからはほぼ毎日、言葉ひとつでも良いのが頭に浮かんだらすぐノートに書くようにしてました」


ーーそういう時の家族の反応やサポートが大きな支えになったんですね。


Grace Aimi「自分の親も家族もみんな夢をめっちゃ応援してくれる人たちで。やりたいことがあるなら自分を信用して進んで行って、それで成功しなくても自分が楽しければそれで良いっていう考え方だったんで。ナチュラルに打ち込めましたね」







ーーそこからデビューに至るまでは、Awichさんとの出会いが大きかったと聞きました。


Grace Aimi「Awichとの出会いはGraceたちからのアプローチだったんです。過去に一回ライヴを観たことがあったんですけど、メッセージ性もあの強い声も凄くて私もお母さんも衝撃を受けてて。それから数年後、Awichが『ウチナーンチュ大会』というイベントを主催したんですね。それを見て『何か手伝えることがあったら連絡してください!』ってメールしたら彼女からレスが来て。最初に会ってから一気に意気投合して、毎日私たちの家に来て夢を言い合ってました。ある日、私が遊びで書いてた曲をAwichが気に入ってくれてChaki(Zulu)さんに送ったら、連絡がきて。『一緒にやろう』って言ってくれて全てが始まった感じです。曲を書き始めてからの道のりが本当にスムーズで、Chakiさんとの出会いも今のチームとの出会いも全部がオーガニックだった。みんな友達として大好きだし、運命に感じることが多い。いろんな人に引き寄せられたのかなって思いますね」


ーーその出会いからデビュー曲の“Eternal Sunshine”が生まれたと。


Grace Aimi「そうです。Chakiさんと一緒にスタジオに入って、ナチュラルにセッションする中で完成しました」


ーーあの曲をデビュー曲にした理由は?


Grace Aimi「音楽を始めた時から、自分が出したいメッセージや見せたいイメージがあって。誰もが幸せにいられる環境を作りたいって思ってたんです。シンプルに幸せでいられる世界。“Eternal Sunshine”が出来た時、自分自身も本当にめっちゃ幸せだったんですよ。周りのみんなに聴かせても、一緒に踊ってくれるくらい楽しんでくれて。これは人を幸せにする力を持ってるなって思いました。暗いことが多い今の世の中で、この太陽ヴァイブス満載の曲は私にあってるなって」




ーーオールディーズな曲調は自分のバックボーンが影響してると思いますか?


Grace Aimi「思いますね。ポップも大好きなんですけど、小さい時からオルタナティブとかジャズとかも大好きだったし、オールディーズのジョニー・キャッシュとかエルヴィス(・プレスリー)とかも大好きで。いろんな音にインスパイアされて育ってきたから、このジャンルだけやりたいっていうのも無いんです。私が作る曲は、音の方向性は違っても曲から伝わってくるヴァイブは同じで。それを表現出来ればと思ってます。2021年の新しいヒッピーの時代を作りたい(笑)」


ーーデビュー曲を披露した時のファンの反応はどうでした?


Grace Aimi「コメントもDMも全部のSNSの反応が愛で溢れすぎて、それに自分もめっちゃ泣いて。純粋に自分の気持ちを出して、自分自身も幸せにしたいって気持ちで書いた曲なんですけど、それが人の心に当たって人を幸せに出来ているって初めて気づけて。意味あることをやれているな、この道を歩んで良かったなって思えました。


ーー自分が照らした光が反射して自らも照らされてるようですね。


Grace Aimi「本当に。倍返しで私が照らされてましたね」


ーー2021年に入ってからは“Open“、“My Eyes”、“True Feelings”とコンスタントにリリースが続いていますね。どんなペースで制作しているんですか?


Grace Aimi「音楽を作る時はヴァイブスによるんです。一週間何もしないことも、一週間まるまる何かやってることもあって。感情が高まった時に、いつも持ってるセーラームーンの日記にナチュラルにアウトプットしてますね。そろそろ三冊目が終わります(笑)。リリースした曲たちも、きっとデモに聴こえる曲もたくさんあって。完璧じゃない感じだから、それがシンプルなマインドとして伝わると思っています」


ーーダニエル・シーザーのタイプ・ビートを使用した“True Feelings”は、孤独感を重くなりすぎないテイストで伝えてますよね。


Grace Aimi「あれを書いた時は超感傷的な日で。誰しもどんなに恵まれてても孤独に感じる時はあるじゃないですか。歌詞にも書いたんですけど、パーフェクトなガールでパーフェクトな人生だけど、それでもなぜか一人に感じちゃう。良い人生を過ごしてるのに、なんでこんな風に思っちゃうんだろうって…その日本当に泣きながら書いてて」


ーーその気持ちを消化するために曲が生まれた感じ?


Grace Aimi「どんな感情でも意味があるから、それは無視しない方が良いと思ってて。心の中の反射が言葉に出て、頭の中の感情がメロディに出るから。“True Feelings”は寂しいことを歌ってる曲だけど、曲は明るい感じに聞こえる。私自身もこれですっきり出来たんです」




ーー寂しい感覚を暗く表現し過ぎないのはGraceさんの人柄なのかな、と思いました。


Grace Aimi「寂しいことでも明るい感覚で表現するっていうのは大事にしてますね。今後、すごく寂しい曲を出したりもするかもだけど、今は寂しくても、この道の最後は明るいよっていうのを表現したいです」


ーーGraceさんは曲を作ることで孤独感を解消して、ファンは聴くことで解消する。そういう正のループを感じますね。


Grace Aimi「それが一番したいことですね。孤独のない世界を作りたい。ドキュメンタリーとか最近よく観てるんですけど、アジアは特に孤独を感じる人が多いみたいなんです。こんなに人口はたくさんいるのに、なんで一人に感じるんだろうって。もし自分の目の前に友達がいなくても、家族が仲良くなかったりしても、私のHPにきて、私のSNSに来たらGraceは自分の仲間なんだなって思ってほしい。そう感じさせたい。孤独に感じる時は絶対あるけど、誰も一人じゃないよって気持ちは広げたいですね」




ーー同世代に対するメンタルヘルス的な意識はありますか?


Grace Aimi「結構ありますね。自分と同年代の人たちって、今までの歴史の中でも特にネガティブな時代って言われてて。それは自分の周りを見ても感じるから、自分の年代をちょっとでも明るくさせたいとは思ってる。メンタルヘルスは本当に大事なことで、自分のメンタルのステートがどれだけ幸せな環境にいられても、心が暗いと意味ないから。健康なマインドに、誰も孤独に感じないように。悲しい感情があっても、それを出せてアウトプットできる環境を作りたい。メンタルヘルスで大事なのって、聴いてくれる人がいるかどうかだと思うから、自分とファンとの間でもそういう関係になりたい」


ーーきっと、Graceさん自体が音楽でオープンにさらけ出してくれるから、ファンのみんなもGraceなら聞いてくれるかも!って思ってさらけ出してくれるのかもしれないですね。


Grace Aimi「DMもできるだけ返すようにしてるんですけど、ある女性から自殺しようか迷ってましたってセンシティブなメールがきたんです。「Graceさんのおかげで暗い世界から生き返ってこれました』って。その時に、人の命にまで関わってる仕事なんだなって思って。すぐ連絡して、どれだけ悲しいことがあっても、最後は絶対良くなるからって。そのファンの方とは1年半前くらいから今でも連絡を取り合ってます。ずっと前からフォローしてくれてる人もたくさんいるし、ファンとの交流の場はみんなでお泊まり会してるみたいな雰囲気を作りたいって思ってます」


ーーそういうメンタリティはウチナーンチュだからだと思いますか?


Grace Aimi「思いますね。自分のメッセージ性は60%家族、40%沖縄くらい。“なんくるないさー”っていう、どんな時も“何とかなるよ”って言葉が大好きで、いっぱい人生経験してきたおじいとかおばあに言われると心がリセットされる感覚になる。“いちゃりばちょーでー”って言葉は”一度あえばみんな兄弟”って意味なんですけど、一回触れれば心はみんな繋がってるっていうこと。こういう沖縄の価値観は、やっぱり根底にずっとあるし影響してますね。そんなピースフルな沖縄のバイブスを世界に広げたい」


ーー今後のリリースも続々控えているようですね。


Grace Aimi「いま30曲くらい溜まってるんですけど、5月に“Rainbow”って新曲が出て(※現在すでに公開中)、EPが5月21日に、夏頃にはアルバムを出せたらなと思ってます。心が安らかになる曲がいっぱい入ってて、夏にぴったりなヴァイブだから楽しみにしてて欲しいですね」




photography emi
text Sadanori Utsunomiya
edit Ryoko Kuwahara



Grace Aimi
『Rainbow』
2021年5月14日(金)Digital Release
(UNIVERSAL MUSIC / +81 MUSIC )

配信 URL:  https://umj.lnk.to/GraceAimi_Rainbow






Grace Aimi
『PICNIC』
2021年5月21日(金)Digital Release
(UNIVERSAL MUSIC / +81 MUSIC )



Grace Aimi
2000年生まれ沖縄県出身で、バイレイシャル、バイリンガル。人々の心を根源的に揺さぶるパワーをもった歌声が魅力のZ 世代ポップシンガー。YouTube にて実弟と共にGracie & Gabe として活動をスタート。ウクレレに合わせて歌った数々のカヴァー楽曲動画がSNS上で話題となり、デビュー前にしてチャンネル登録者数は約10 万人、累計再生数は1000万回以上を記録している。2020年8月31日、Awich やkZmなどジャパーニーズヒップホップを牽引するラッパーたちのプロデュース・ワークで絶大な支持を得てきたChaki Zuluをパーマネントなプロデューサーに迎え、本名のGrace Aimi 名義のデビュー曲「Eternal Sunshine」をリリース。同曲はSNSを中心に数々のヒットチャートやバイラルチャートにランクイン。海外メディアやアーティストからのオファーが殺到する。2021年 2月、UNIVERSAL MUSIC / 81 MUSIC より2nd Single「Open」、3rd Single「My Eyes」、3月には「True Feelings」をリリースし、同時にUS – Capitol Recordsとのパートナーシップが発表され、その世界照準の活動に注目が集まっている。5月14日には、ソウルフルな歌声とヒップホップ風のリズムをマッチさせ、声の幅広さを感じさせる最新作「Rainbow」がリリースされ、5月21日には待望の1st EP 「PICNIC」がリリースされる。
Official Web : http://graceaimi.com/

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