スクリーンの幕が上がると、そこはもう5千年前の古代エジプト。ピラミッド、スフィンクス、太陽神ラーなど誰もが知る要素をふんだんに盛り込んだ『キング・オブ・エジプト』(9月9日より全国公開)は、神々と人間とが王座をかけて壮絶なバトルを繰り広げるSFアドベンチャー映画だ。
本作で芯の通ったヒロインを演じるのがオーストラリア出身の新鋭コートニー・イートン。アジア系やマオリ族の血を引くエキゾチックな風貌と178センチの長身を誇る彼女は、インタビュー・ルームで出逢った瞬間に向こう側から「コンニチワ!」と声をかけてくれる実に気さくな女性だった。超大作の中でも格別の存在感を見せつける弱冠20歳の逸材に、じっくりと話を訊いた。
————いまの「コンニチワ!」という日本語がすごくナチュラルで驚きました。
コートニー「ドウモアリガトウ!実は以前、交換留学生として日本にちょっとだけ滞在したことがあるんです」
————どうりで上手なわけですね。 何か日本文化の中でお気に入りのものってあります?
コートニー「ハヤオ・ミヤザキ! 彼の作品は全部大好きで、小さい頃からもう何度も見ています」
————筋金入りのファンなんですね。ところで日本では今なお『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015)が上映されていて(コートニーは、悪ボス“イモータン・ジョー”から逃亡を図る5人の妻たちの1人を演じた)、おそらく立川エリアに行くとあなたはきっと太陽神ラーのごとく迎えられることと思います。
コートニー「ラーみたいに!? それ、本当にやっちゃおうかしら(笑)」
————あのマッドな映画は、あなたの中でどのような思い出として残っています?
コートニー「とてつもないクレイジーな体験、と言う他ないですね。6か月ものあいだ滞在した砂漠の真ん中には、もうまさにスクリーンで観るそのまんまの状態が広がっていたんです。私は当時16歳で、あんなに長期間、家族と離れて暮らすことさえ初めての経験でした。でもジョージ・ミラー監督をはじめ、素晴らしくぶっ飛んだスタッフ、キャストに囲まれ、大変だったけど幸せな時間でした。もうあんな体験、二度とできないだろうな……」
————『マッドマックス』の圧倒的なリアリティに比べて、今回の『キング・オブ・エジプト』は最新の特殊効果に満ちたパワフルな映画となりました。撮影方法や現場の雰囲気の違いも大きかったのでは?
コートニー「それはもう180度異なる体験でした。『マッドマックス』はリアルに爆発したり、車が猛スピードで爆走していく壮絶さがありましたが、今回の映画はシドニーのスタジオで、大部分にブルースクリーンを駆使しての撮影となりました。登場するモンスターたちも本物ではなく(笑)、私たちはスティックの先に括り付けられたテニスボールに向かって、話しかけたり、勇気を振り絞って立ち向かったりしていたんです」
————ということは、今回の方がコートニーさんの俳優としての真価というか、イマジネーションが求められる撮影となったのでは?
コートニー「ある意味そうかもしれません。 だって、それがどんな場面になるのか、相手がどんな恐ろしいモンスターなのか、私たちには全く分からなかったわけですから。ようやく完成版を観たときには、ワオ!こんな映像に仕上がったんだ!と最新技術の凄さに驚かされました」