NANZUKA にて、空山基(1947-)の新作個展「女優はマシーンではありません。でも機械のように扱われます。」を開催。本展では、空山が新たに描き起こしたマリリンモンローをモデルとした新作ペインティング、及び「セクシーロボット」シリーズを3次元化した立体作品を発表する。
空山基は、1969年に中央美術学園を卒業、広告代理店勤務を経て1972年よりフリーとなって以後、驚異的な写実力を武器に、人体と機械の美を追求した作品で、国内外で伝説的な存在となっているアーティスト。その名を世に知らしめた作品「セクシーロボット」シリーズ(1978年-)では、女性の人体美をロボットに取り込んだ表現で、その後のロボットのイメージ形成に大きな影響を与えた。1999年には、ソニーが開発したエンターテイメントロボット「AIBO」のコンセプトデザインを手掛け、グッドデザイン賞グランプリ(通産省)、メディア芸術祭グランプリ(文化庁)を受賞。2001年には、初代「AIBO」がスミソニアン博物館&MOMAのパーマネントコレクションに収蔵され、同年に朝日新聞発明賞を受賞。また、世界的ロックバンド、エアロスミスの「Just Push Play」(2001)のアルバムカバーを手掛けたことでも知られている。
空山は、エアブラシを駆使した写実表現技法のゴッドファーザーとしても、世界中のクリエイターから尊敬を集めている。空山は、1983年に出版した作品集「SEXY ROBOT」の中でロボットを描く過程を惜しげも無く図解しているが、この本はその後世界中に拡散し様々な国のアートスクールで教科書として扱われるようになった。その結果、空山作品の影響は日本のコマーシャルアートの枠を遥かに超えて、ハリウッド映画から世界中のストリートアート、ファインアートまで多岐に渡るようになった。
空山は、人間の肌、唇、眼球、髪の毛、体毛の1本1本、あるいは衣類の革やシルクの質感、ロボットのメタリック感、反射する光など、微に入り細にわたったハイパーリアリズムを追求するために、先輩イラストレーターであった山口はるみの作品を習ってエアブラシを用いて絵を描くようになったと言う。空山は、写実的絵画の可能性について、「写真では絶対不可能なアクロバティックな姿勢や、現実には存在し得ないコスチュームを人物につけさせたり、あるいは解剖学的にはずれる肉体や自分好みの美女を自在にコラージュして作り出す事ができる」と語っているが、あくなき美意識を追求する空山の努力が、この「発明」を生み出したと言えるだろう。
今回の展覧会では、空山が敬愛するアイコン、マリリンモンローの肖像をロボットとして描き起こした新作ペインティング10数点と、セクシーロボットを等身大、及び1/3スケールに造形化した新作の立体作品を発表する。
空山基
「女優はマシーンではありません。でも機械のように扱われます。」
2016年1月30日(土)-3月5日(土)
会場:NANZUKA
東京都渋谷区渋谷2-17-3 渋谷アイビスビルB1F
03-3400-0075
www.nug.jp